面白いことに、原作小説を読んだ人ほどアニメ版の主人公に違和感を覚える傾向がある。小説では一人称で語られるモノローグが多く、『自分は周りからどう見られているか』という自覚的な不安がベースにある。それがアニメでは視覚的な情報が優先され、他人から見た『態度の悪さ』ばかりが目立つ構成になった。
例えば食堂で一人で食事するシーンでも、小説では『誰も声をかけないことに寂しさを感じながら、あえて不機嫌な顔をしている』と書かれているのに、アニメではただ不
愛想な生徒が映っているだけ。この『内面と外面のギャップ』をどう表現するかが鍵だったのに、映像化の過程でズレが生じてしまったんだろう。