ケミカルライトの青白い光に照らされた『薬屋のひとりごと』は、魂の転生という形で『取り換え』を描く異色作だ。主人公の猫猫が前世の記憶を引きずりながら、
薬師としての技術で宮廷の謎を解いていく様は、まるでパズルのピースを埋めるよう。
特に興味深いのは、記憶と人格の継続性への問いかけだ。前世の知識はあるが感情はないという設定が、『本当の自分とは何か』という哲学的なテーマに発展する。作中で繰り返される『取り換え』のモチーフは、読者にアイデンティティの脆さを考えさせる。
宮廷ものと転生ものが融合したこの作品は、『STEINS;GATE』のようなSF的転生ものとは一線を画す。むしろ『千と千尋の神隠し』の湯婆婆による名前の奪いに近い、民俗学的な『取り換え』の怖さが味わえる。