漫画とアニメを比べると、まず演出の「間」と情報の出し方が根本的に違うと感じる。僕は単行本を何度もめくって場面ごとのコマ割りや余白の使い方で感情を拾うタイプなので、'
かまとと'の漫画版ではキャラクターの内面が丁寧に積み重ねられていると受け取ることが多い。例えば単行本3巻にある葬式の場面は、静かなコマの積み重ねが悲しみの深さを作っていて、モノローグや視線の移り変わりがじわじわ胸に効いてくる。
対して第10話のアニメでは、時間配分や音楽で感情を一気に押し出す構成が取られている。アニメは動きと音があるぶん瞬発的な情動表現に優れ、場面を短くまとめながらも印象的なカットで補強する。結果として漫画で味わった「間」が変化し、受け取り方が違ってくることが多い。
絵作りの面でも差がある。漫画は線の細かさや影の付け方で空気感を出す一方、アニメでは色彩、光、声優の芝居、BGMが総合的に雰囲気を作る。ストーリーの順序を入れ替えたり、省略したりすることで、登場人物の魅力の見え方が変わることがあり、僕は両方を併読すると作品の層がぐっと厚く感じられると結論づけている。