古文書に残る寸法表を見ると、布の積み重ねが当時の体感と価値観を映しているのがわかる。研究者としての立場から語ると、
ドロワーズは単一の起源を持つわけではなく、複数の歴史的要因が重なって現れたものだと説明するのが自然だ。まず最も古い系譜は中世ヨーロッパに遡り、男性用下着の'braies'と呼ばれるゆったりしたズボン状の布片に端を発する。これが男女問わず化学繊維化以前の布の使い方として定着し、徐々に形や用途が分化していった。
18世紀から19世紀にかけての大きな変化は、着衣の輪郭が変わったことと、衛生や modesty(慎み)の観念が変化したことだ。薄手の衣裳が流行すると、足や裾周りの露出を抑えるための実用的な下着が求められた。さらに産業革命による綿の大量生産で下着が手頃になり、一般女性もドロワーズを日常的に着用するようになる。医学や女性の健康に関する言説も、この移行を後押しした。
結局、ドロワーズは単なるファッションではなく、技術、社会規範、身体観の交差点として位置づけられる。そうした多層的な起源を踏まえれば、一着の布片から社会の変化を読み解けるのが面白さだと私は感じている。