6 回答
膝をつくポーズを描くとき、僕は重心の取り方と服の皺の流れに最も気を配る。
まず骨格をざっくり決めてから、腰の位置と膝の角度を合わせることでキャラが自然に見える確率がぐっと上がる。膝が地面に触れる位置が遠すぎると不自然になり、近すぎると窮屈に見える。だから膝から足首までの長さを意識して、重心がどこに乗っているかを指で押すように確認する感覚で描いている。
次に服のディテール。『鋼の錬金術師』の戦闘跡の描写みたいに、布のたわみや擦れで
跪く勢いを表現できる。手の位置や顔の角度も忘れずに。軽く呼吸しているような胸の膨らみや、片方の手で支えているなら指先の力の入り方まで描くと説得力が出る。最終的には「その場にいる理由」が絵から読み取れるかどうかが重要だと感じている。
場面のストーリー性を重視すると、跪く理由を絞り込む作業が絵を救うと感じる。あたしはまずその瞬間に至るまでの前後関係を短く頭の中で再生してから描き始める。たとえば謝罪が目的なら視線は相手に向き、身体の線は真っすぐに保ちやすい。対して疲労や諦観が混じる跪きなら、肩が落ち、視線は遠くを見るようになる。
小さなディテールも意外に効く。靴の擦り切れ、手の爪先の泥、衣服の縫い目に沿った皺などが物語を補強する。『ペルソナ』シリーズの内省的な場面から学んだのは、背景や小道具とポーズの相互作用で感情の輪郭がはっきりすることだ。だから一枚に込める「理由」を決めてから描くことを勧めたい。
表現のニュアンスを重視すると、膝をつく動作の持つ礼節や弱さの違いを際立たせられる。僕は表情と手の使い方に注目して、跪く理由が伝わるよう心がける。謝罪なら手は前に伸ばすか、胸元に寄せる。祈りなら両手を合わせるか、顔を伏せる。疲労感を出すなら片方の手で地面を支えるように描くとリアルに見える。
色彩面では、跪いた位置にできる影や、服の色褪せを少し加えると情景が生きる。『君の名は』の印象的な場面を思い出して、感情の強さを色や構図で補強するのが好きだ。観る人が「どうして膝をついたのか」を瞬時に感じ取れることが重要だと考えている。
ポーズを解剖学的に考える時間を取ると、制作がずっと楽になる。俺は骨盤の傾きと脊椎のS字を最初にスケッチして、そこから筋肉のラインを補強するように描く。膝関節は前後に出る膝蓋骨の位置や、裾のシルエットに影響する太ももとふくらはぎの張りを見せると説得力が出る。
たとえば膝を深く曲げた場合、太ももの前側が収縮してふくらはぎはやや伸びる。逆に浅めの跪きなら、腰が高く残り上半身でバランスを取る必要がある。光の当たり方も計算して、影が膝の裏や太ももの付け根に落ちるようにすると立体感が増す。『進撃の巨人』みたいな緊迫した場面なら、砂埃や布の破れを加えて動きの痕跡を残すのが有効で、そこまで考えると一枚絵としての説得力が高まると感じている。
膝をつく場面は感情の強度を表す格好の手段だから、俺はまずキャラの内面を想像するところから始める。謝罪で跪くのか、祈りで跪くのか、疲れ果てて座り込んだのかで肩の落ち方や首の角度が変わる。体の構造だけで済ませず、表情や視線の方向を必ず先に決めてからポーズを固めるようにしている。
視線が上向きなら胸が開き、下を向けば肩が前に縮む。手の置き方ひとつで物語が変わるから、指先のちょっとした曲げや爪の見え方も気にする。『ジョジョの奇妙な冒険』の劇的なポーズを参考にしつつ、誇張しすぎないラインで感情を伝えると自然に見えると思う。色や光を使って膝をつく行為の重みをさらに強調するのも好きだ。
儀礼的な跪きと感傷的な跪きでは、身体表現がかなり変わると感じる。俺は場面の社会的背景や文化的意味を軽く意識してから描くことが多く、その結果ポーズの取り方や手の位置が変わってくる。たとえば敬意の意を示す跪きは背筋が伸び、手は落ち着いている。一方で悔恨や屈辱を表す跪きは体が縮こまり、肩が前に出る傾向にある。
小物の扱いも忘れないでいる。たとえば剣や小物があるときは、それをどう支えるかで指先の緊張が描ける。『ゼルダの伝説』のような象徴的な場面を参照すると、跪くことが物語上どんな意味を持つかが想像しやすくなる。こうして背景を噛み砕いておくと、絵全体がより説得力を持つようになる。