掲示板の書き込みを追うと、ある日突然スレッドが賑やかになっていることがある。僕はその波に乗って『鬼滅の刃』の“
大将軍”に関する考察がどのように広まっていくかを観察している。まずひとりのユーザーが小さな発見を投下する。コマの一部、作者のコメント、あるいは公式のグッズ写真の細部に注目することが始まりだ。
次に、それを裏付けると称する画像比較や時系列、翻訳付きの原文が追加され、スレッド内で複数の人が検証作業を行う。誰かが短いまとめ動画を作ってSNSに流すと、情報は一気に拡散する。拡散の過程で要点は単純化され、キャッチーなフレーズやタグが付いていく。
最後は同人やファンアート、さらには考察まとめのまとめ記事といった二次創作が追い打ちをかけ、論はイメージと結びつきながら広がる。重要なのは、最初は小さな観察がコミュニティの集合知によって精緻化されるという点で、それが時に真偽の境目を越えて広まる力になるということだ。