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エッセイ集『プライド・オブ・ウーマン』は、ボーヴォワールのアクセシブルな一面に触れられる。日常生活から文学評論まで、幅広いテーマを軽妙な筆致で綴っている。
特に若い読者には、彼女の思想のエッセンスを短い文章で味わえるこの形式が向いている。各エッセイが独立しているので、気になるタイトルから拾い読みできるのも利点だ。堅苦しいイメージのボーヴォワールが、意外にユーモアやウィットに富んだ文章を書いていたことが分かる一冊。
『レ・マンダラン』のような小説作品から入る方法もある。ボーヴォワールの哲学的思考が、物語形式でより身近に感じられる。知識人たちの人間模様を通じて、彼女の実存主義的な人間観が浮かび上がってくる。
この作品の魅力は、哲学書とは違う生きた言葉で社会を描いている点だ。パリのサルトル周辺の知識人社会をモデルにしたと言われるが、登場人物の葛藤には普遍性がある。小説としての面白さと思想的な深さが両立している稀有な例で、気軽に読み始められるのが良い。
ボーヴォワールの思想に触れるなら、まずは『第二の性』の序章から始めるのがおすすめだ。この部分だけでも、彼女の鋭い社会分析とフェミニズムの核心が凝縮されている。
『第二の性』全体はボリュームがあるが、特に「女性は生まれながらではなくつくられる」というテーゼは、現代のジェンダー論にも通じる。最初は難解に感じるかもしれないが、1章ずつ咀嚼しながら読むと、彼女の論理の美しさに引き込まれる。
読み進めるうちに、60年以上前に書かれたこの作品が、いかに現在の私たちの生き方にも直結しているかに気付くはずだ。翻訳版によって文体の印象が変わるので、複数の訳を比較してみるのも面白い。