ページをめくるたびに、
ミツハシの面影がさまざまに揺れ動くのを楽しんでいる人間です。私がまず勧めたいのは、登場人物の心理描写が丁寧な長編『ミツハシと月の約束』。この作品は、ミツハシの過去に丁寧に触れながら、徐々に関係性が変化していく過程をじっくり描いており、キャラクターの微妙な感情の揺らぎを味わいたい人にぴったりです。
短めの読み切りで気軽に楽しめるのが『裏庭の交差点』で、ユーモアと切なさが同居する構成が魅力。テンポが良く、会話中心のやり取りからミツハシの人柄がすっと伝わってきます。読み終えた後に、余韻がふわっと残るタイプの作品です。
最後に、叙情的な雰囲気が好きなら『水面に映る声』を推します。情景描写を活かした比喩が美しく、ミツハシの内面を詩的に掘り下げているので、読後にしばらく考えさせられます。どれも路線が違うため、気分や求める深さに合わせて選べるのが良いところ。私自身、気持ちを切り替えたいときにこれらを読み返すことが多いです。