基準を決める側の思考をたどると、まずは表現の『程度』と『文脈』を分けて評価するのが常だと気づく。僕は長年いろんな作品を読んでいるので、出版社が見るポイントが細かく分かれているのをよく理解している。具体的には、露骨な性器描写や挿入表現があるか、性的行為が生々しく描かれているか、描写が未成年に向いているかどうか――この三つは即座に年齢制限に直結する要素だ。さらに、暴力や強制性、非同意の描写が絡む場合は厳格に扱われ、倫理的・法的リスクが高まる。実際に、グラフィックな場面や性的な
羞恥心を刺激する描写が中心なら出版側は18歳以上を想定することが多い。
もうひとつの大きな判断軸は『意図と文脈』だ。性表現がストーリーの主題として不可欠で、人物心理や社会的問題を掘り下げる役割を果たしているなら、単純な性的興奮のための描写よりも柔軟に評価される場合がある。例えば、暴力的で重い性描写がある作品でも歴史的・思想的な観点から提示されているなら、出版社は作品の扱いを慎重にしつつも、
適正な年齢区分と注意書きを付ける方向をとることがある。逆に、性的興奮を主目的にした描写だけが先に立つ場合は、マーケットや流通のルール上さらに厳しい区分・販売制限がかかるのが普通だ。個人的には、こうした二重の視点をきちんと公開してほしいと感じている。