読書順を考えると、作品ごとのプロットの組み立てや作者の意図が見えてきて、
あやのの成長をより深く味わえるようになる。私は原作ファンとしてとにかく“流れ”を大事にしているので、まずは作者が意図した公開順(=本編の巻順)を最初に追うことをおすすめする。序盤は人物の基礎が積み上げられていく過程が丁寧に描かれているし、途中で出てくる伏線や小さな変化を拾う楽しさは、刊行順に読むことで最大化されるからだ。
本編(刊行順)を一気に読んだあとは、短編や外伝、番外編に手を伸ばすのが自然だと思う。多くの場合、短編集は本編の間に挟まれている出来事や、裏側で起きていた日常の断片を補完してくれる。個人的な体験だが、本編で「あやの」の成長の節目を見届けた後に外伝を読むと、同じ出来事でも心の機微や細かな行動がより立体的に見えてくる。外伝は時系列としては前後することがあるので、ネタバレを避けたいなら本編完走後に回すのが安心だ。
さらに深掘りしたいなら、スピンオフや他キャラ視点の作品を最後に読むといい。これらは主に視点の違いであやのの側面を補強してくれるため、本編で得た感情を揺さぶられる形で再解釈できる。加えて、作者のあとがきやインタビュー、番外的な短文は読み飛ばさずに拾っておくと、意図や制作背景が分かって面白い。アニメやコミカライズをどう扱うかは好み次第だが、私の経験では原作を先に読むことで設定や内面描写のニュアンスを損なわずに映像版を楽しめることが多かった。
結局、最も無難で満足度が高いのは刊行順→短編集・外伝→スピンオフ→続編・後日談→作者解説、という順番だ。とはいえ、時間がなかったり早くあやのの過去を知りたい場合は、時系列順に読むという選択肢もある。どちらの順でも、彼女の小さな選択や葛藤が積み重なって大きな変化へつながる瞬間を見逃さないようにすると、成長物語として何倍も楽しめるはずだ。