生まれ育った土地の記憶を抱えながら話すと、
姥捨山は単なる景勝地ではなく、暮らしや信仰が絡んだ場所だと改めて感じる。
案内板には書かれていない細かい礼儀があって、まず神社や祠の扱いには気をつけてほしい。賽銭箱の前でのふるまいや二礼二拍手一礼の流れ、過度な撮影で祭具や参拝者の邪魔をしないことは特に地元で強調される点だ。境内は清浄な場所と捉えられているので、大きな声で話したり飲食をするのは良く思われない。
道に関しては、昔からの山道や段々畑の脇は私有地と隣接していることが多い。農作業の邪魔にならないように、標識やロープがある場所は必ず従ってほしい。ゴミを持ち帰るのは当たり前だが、携帯トイレやごみ袋を準備しておくと地域の負担を減らせる。駐車は指定の場所以外で止めると道を塞ぎ、住民から厳しく注意されることがある。
最後に、地元の年配の方に敬意を示すこと。話しかけられたときは笑顔で応じ、祭礼や収穫期など人が忙しい時期は無理に立ち入らない配慮をしてほしい。そういう小さな気遣いが、訪れる者と受け入れる側の関係を良くするんだと私は思っている。