駅のホームに立って辺りを見渡すと、光の帯がゆっくりと谷間に降りていく様子が目に入る。僕がいちばんすすめたいのは、
姥捨山の'姥捨駅'ホーム脇の見晴らしスポットだ。ホーム越しに広がる棚田と、谷を埋める町の明かりを一枚の画面に収めやすく、足場が安定しているので長時間露光の準備がしやすいのが利点だ。三脚は必須で、レリーズやセルフタイマーで振動を避ける。広角レンズで構図を作り、手前の柵やプラットフォームをリーディングラインに使うと立体感が出る。
露出はブルーアワーから深夜へ変わるタイミングをねらうのがコツだ。僕の場合、ISOは200〜800、絞りはf5.6〜f11前後、シャッタースピードは数秒から数十秒で調整している。列車の光跡を意図的に入れるなら長秒露光を伸ばしてみると面白い。天気の良い晩は冷え込むので、防寒とバッテリーの予備を忘れないこと。
安全面ではホームの端や立入禁止区域には近づかない。人が少ない時間帯でも駅利用者や列車運行に配慮しつつ、地元のルールを守って撮影すれば、姥捨ならではの静謐で雄大な夜景が手に入る。僕にとってここは、いつ訪れても新しい発見がある場所だ。