小説における失態が転機となる作品として、『罪と罰』のラスコーリニコフの犯行が挙げられます。彼の犯した殺人という重大な過ちが、彼自身の精神的な
崩壊と再生のきっかけとなり、物語全体の流れを根本から変える転換点となっています。
この作品では、主人公の倫理観の揺らぎとその後の葛藤が詳細に描かれ、犯罪という失態が彼の人生を破滅へと導く一方で、最終的には救済への道を開くという逆説的な展開を見せます。ドストエフスキーはここで、人間の弱さと神への信仰の狭間で揺れる魂を描き出し、失態が単なる失敗ではなく、深い内省と成長の契機となることを示しています。