温石の温度管理は最重要のポイントだ。触って心地よい温かさと、皮膚にとって危険な熱さの境界を見極める感覚を持つことから始めるべきだと考えている。石は加熱後も蓄熱するため、加熱源の温度と肌に触れる直前の温度は必ず確認する。専用の温度計を用い、石表面が概ね40〜45°C程度になるよう調節するのが安全圏だと私は経験上感じている。特に高齢者や糖尿病の方は皮膚感覚が鈍くなりやすいので、より低めの温度設定を心がけることが大事だ。
準備段階では石の清潔保持と拭き取り用の布の分離を徹底している。施術前後に石を洗浄し、消毒できる素材の布で拭く。油を使う場合は少量に留め、石そのものに直接過度な油を塗らないようにしている。施術中は同じ箇所に長時間置きっぱなしにしない、肌の赤みやしびれの兆候が出たらすぐに移動または取り外す、といったルールを自分で定めて守ることでトラブルを未然に防げる。
万が一火傷の疑いが生じたら、まずは速やかに冷水でやさしく冷却すること。氷を直接当てるのは避け、流水で冷やしながら様子を見て必要なら医療機関を受診する。事前に禁忌(開放創、皮膚感染、深部静脈血栓、急性炎症、特定の循環器疾患、妊娠初期など)を確認し、施術を行う相手の体調や既往歴を聞き取る習慣をつけると安心だ。自分の経験では、温度チェックとコミュニケーションを丁寧にすることで、安心して温石を活用できる場が作れると感じている。