再びあの日、皇帝を守るために陛下が刺客に襲われたその日、禁軍統領である夫は、機嫌を損ねて立ち去った想い人を追いかけ、私のそばにはいなかった。
臨月の身でありながら、私は救援を呼ぶための信号花火を放たなかった。代わりに陛下の前へ進み出て、この身を盾にして、陛下をその場から逃れさせる時間を稼いだのだ。
そうしたのは、前世の記憶があったからだ。
かつて私は信号花火を放ち、夫を呼び戻した結果、彼は陛下を救った功により護国侯に封じられた。だがその裏で、彼が置き去りにした想い人、青玉煙(せい ぎょくえん)は罠にかかり、命を落としていた。
夫は何も語らなかったが、私が子を産むその日、彼は私を猛獣の巣食う穴へ投げ捨てた。
「陛下のまわりには護衛が大勢いたはずだ。なのに、なぜわざわざ俺を呼び戻した?お前は権勢と富に目がくらみ、わざと俺を陛下の救援に向かわせたんだろう。お前が信号花火さえ放たなければ、玉煙は死なずに済んだんだ!」
冷えきった声でそう言い放ち、彼は私に、玉煙が味わった以上の苦しみを、お前にも与えてやると告げた。
私は獣に喰い裂かれ、腹の中の子さえ守れぬまま、無惨な最期を迎えた。
――そして目を開けると、私は再び、陛下が刺客に襲われたその日に戻っていた。