茫洋の作品に登場するシンボルは、しばしば日常の中に潜む
不条理や人間の無意識を映し出す鏡のような役割を果たしています。例えば、『海辺のカメラ』で繰り返し登場する壊れた時計は、時間の流れに対する主人公の不安を象徴的に表現しています。
茫洋はシンボルを通じて、言葉では語り尽くせない感情の襞を描き出します。『夜光虫』のタイトルそのものが、闇の中でふと光る儚い希望を表しています。こうした表現は、読者が作品の世界観に没入するための重要な手がかりとなっているのです。
特に興味深いのは、同じシンボルが作品ごとに異なる意味合いを
持ち得ることです。鳥のモチーフは『空の羽根』では自由を、『檻の中の翼』では拘束を暗示しています。この多義性こそが茫洋作品の深みを生み出しているのでしょう。