詩を読み返すとき、まず風景の移り変わりが印象に残る。『
道程』の歩みは静かな決意と苛立ちを同居させていて、目的地よりも道そのものを見つめる視線が強い。僕はその歩みの細部に、自分の軸を問い直す瞬間を幾度も見つける。
対して『銀河鉄道の夜』は旅を通じて他者との連帯や救済を描く。両作を比較すると、孤独の扱い方に興味深い差が出てくる。『道程』は自己の試練を内向きに掘り下げ、それが詩的な節回しや象徴で凝縮される。一方で『銀河鉄道の夜』は旅の中で他者の苦しみを受け止めることが救いにつながると示す。
自分の感覚では、『道程』の静けさは読む者に内省を促し、『銀河鉄道の夜』の連なりは共感を呼び起こす。どちらも道の比喩を用いながら、行き先と同行者の価値を別の角度から問いかけてくる点が面白い。最後には、歩くことそのものが主題なのだと納得することが多い。