言葉の面白さは、同じような表現でも微妙なニュアンスの違いで全く異なる印象を与えるところにある。
重言と対義語は、どちらも言葉の組み合わせに関わる概念だが、その性質は対照的だ。
重言は、同じ意味の言葉を重ねて使う表現で、『馬から落馬する』や『頭痛が痛い』が典型的な例。これらは一見すると正しいように見えるが、『落馬』には既に『馬から落ちる』意味が含まれているため、不必要な重複になっている。一方、対義語は『善悪』『昼夜』のように正反対の意味を持つ言葉の組み合わせで、対照的な概念を端的に表現するのに役立つ。
面白いのは、重言が無意識のうちに使われてしまうのに対し、対義語は意図的に用いられる点。例えば『前進后退』という表現は矛盾しているように見えるが、中国語では『行きつ戻りつ』という意味で立派な成句だ。言葉の持つ柔軟性と、文化によって異なる受け止め方がよく分かる例と言えるだろう。