黒川雅之のデザイン哲学を探るには、彼が触発されたクリエイターたちの系譜をたどる必要がある。
特に興味深いのは、ドイツの工業デザイナー・ディーター・ラムスとの思想的共通点だ。ミニマリズムと機能美を追求する姿勢は、黒川の『余白の美学』に通じる。『Less but better』というラムスのモットーは、黒川が提唱する『微差の美』と響き合っているように感じる。
日本の伝統工芸からも大きな影響を受けていることは間違いない。例えば木工芸家・黒田辰秋の『素材と対話する』制作姿勢は、黒川の金属加工における自然な歪みを活かす手法に顕著だ。これら東西の巨匠たちのエッセンスが、黒川独自のデザイン言語を形成したと言えるだろう。