龍君の花嫁代わり
――千年の孤独が再び巡り逢いを呼ぶ。
北辺の霊峰・御影山の麓、禁域「龍ノ淵」には龍神が封じられている。
花嫁を捧げねば龍は怒り、この地は雪と災厄に沈む――。
蝦夷の血を引く青年・瑞礼は妹の代わりに贄となることを選んだ。
龍ノ淵へ身を投げた瞬間、彼を包んだのは氷より深く、焔より切ない光。
――彼を待っていたのは、かつて己が愛した龍神・緋宮。
封印された龍と人として転生を重ねた青年。
愛と咎、祈りと断罪をめぐる三度の輪廻が時を越えて再び結ばれようとしていた。
飛鳥、平安、そして鎌倉。
幾千の雪を越え、瑞礼は祈る――
もう一度、あなたに巡り会えますように。
雪と炎の果てに交わる魂の物語。
――宿命に抗う、龍と人の永遠の恋。