未明のソナタ~触れてはいけないと思っていたその音に、今夜、心がほどけた。
古びた和室に置かれたピアノが、止まっていた時間を静かに動かし始める――。
妻を亡くし、仕事と育児に追われながら心を閉ざしていた父・智久。
かつて幼なじみだった音楽教師・春樹。
そして、ふたりを繋ぐようにピアノの前に座る幼い娘・七菜。
過去と現在が交差する音の中で、誰も言葉にできなかった想いが、少しずつ輪郭を持ちはじめる。
伝えられなかった愛、選べなかった未来、それでも続いていく日常。
沈黙のなかに宿るやさしさ、和音のなかに息づく願いが、三人の関係を少しずつ変えていく。
これは、「家族」とは何かを問い直しながら、音を媒介に紡がれていく再生と赦しの物語。
ゆっくりと滲むように、心の奥に触れてくる――静かで切ない、大人のBLロマンス。