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春を迎えぬ冬

春を迎えぬ冬

「椿宮さん、本当に全ての身分情報を削除してよろしいのですね?手続きを完了すると、あなたという存在が世の中から完全に消えます。誰もあなたを見つけることはできません」 椿宮千夏(つばきのみや ちなつ)は少し黙り込んだ後、確固たる意志を持ってうなずいた。 「ええ、誰にも私を見つけられないようにしたいんです」 電話の向こう側の声が一瞬驚いたような響きを見せたが、すぐに答えが返ってきた。 「かしこまりました。手続きはおおよそ半月ほどで完了しますので、少々お待ちください」 電話を切ると、千夏はスマホを取り出し、半月後に出発するF国行きのチケットを手配した。 その時、テレビではちょうど蒼月グループの記者会見が再放送されていた。 一週間前のことだ。蒼月グループの総裁、恭一郎が発表したのは、世界で最も希少価値の高いダイヤモンドと宝石を使って制作した、ただ一つの特別なジュエリーだった。その名も――「ユキナツ」。 彼はそのジュエリーに千夏の名前を冠し、全世界に向けて愛を宣言したのだ。 「蒼月恭一郎は永遠に椿宮千夏を愛し続ける」 「ユキナツ」の公開後、瞬く間にネット上で話題をさらい、ランキング上位を独占。どのニュースでも二人の「奇跡の愛」を取り上げていた。 記者会見の映像が終わると、次に流れたのは、街頭インタビューの様子だった。 「こんにちは。お聞きしますが、蒼月総裁と奥様の奇跡の愛についてご存じですか?」
Short Story · 恋愛
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株と空約束で同僚を騙す社長

株と空約束で同僚を騙す社長

うちのレストランの社長は、株式を社員をやる気にさせるのが好きだ。 初期の株式保有率はゼロ。残業2時間で0.01%の株式が加算され、1人分の仕事を多くこなせばさらに0.01%追加、会社のコストを2万円節約すれば、また0.01%の株式がもらえる、という話だった。 私は社長に、「詳細な規則を正式な文書にして、専任の記録係を置くべきではありませんか」と提案した。 しかし、社長はただ笑顔で「みんなもっと頑張って」と言うだけで、その「インセンティブ制度」を文書にすることはなかった。 古参スタッフは社長の空約束を信じなかったが、一人だけ本気にした仕込み担当のスタッフがいた。彼は、年末に社長に株式の引き換えを求めた。 しかし、社長はこう言って断った。 「シェフさんが言ってた通り、社印のない文書がないので、株を交換することはない」 そのスタッフは1年間必死に働いたにもかかわらず、何の見返りも得られなかった。その怒りと恨みを、すべて私にぶつけた。年末に私が帰省する前日、包丁で私を襲い殺した。 「文書がなきゃ無効だなんて言わなきゃ、このレストランは、全部、僕のものだったんだ!」 幸運なことに、血だまりの中で倒れた私は、社長が私たちに空約束をしたあの日に戻っていた。
Short Story · 奇想天外
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彼らに見捨てられた私は、無人島に向かった

彼らに見捨てられた私は、無人島に向かった

結婚式の開始まで、あと三十分というときだった。控室に置いていた私のウェディングドレスが、何者かによって無惨に破られていた。 スカートの裾はズタズタに裂かれ、ビジューはすべて剥がされていた。さらに、ドレス全体に赤いペンキと汚水がぶちまけられていた。 ドレスが届いてから控え室に入ったのは、メイク係として来ていた義妹――綾瀬美夜(あやせ みよ)だけ。 我慢の限界を超えた私は、思わず彼女に平手打ちを食らわせた。 だが、婚約者と両親は私を責め、汚れたドレスを着て美夜に土下座で謝れと強要してきた。 「たかがドレス一枚じゃないか。式はまたやればいい。人を殴るなんて、まるでヒステリックな女じゃないか。さっさと謝れ。さもないと婚約は破棄だ!」 婚約者の黒江奏真(くろえ そうま)が大事そうに妹をなだめる姿を見て、私は涙をこらえながら静かにその場を後にした。 そして、ずっと保存してあった連絡先に電話をかけた。 「すみません、無人島の居住権と、恋人・家族カスタムサービスを購入したいのですが」 電話の向こうからは、耳に心地よい女性の声が返ってきた。 「ご購入ありがとうございます。10日後のご入島をお待ちしております」
Short Story · 恋愛
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君は白昼にも落ちぬ星

君は白昼にも落ちぬ星

私は相馬隼人(そうま はやと)と付き合い始めてから十年、結婚して六年になる。 愛し合った年月があまりにも長く、私たち二人はもう、どんな体位も試し尽くしていた。 私が二十八歳のある日、隼人が突然思い出したように語った。十八歳のころ、全身で私――水城柚葉(みずき ゆずは)にのめり込んできた、あの夜のことを。 私は笑って受け流しながら、きっとどこかがもうおかしくなっている――そう悟った。 離婚を決意したあの夜、その引き金となったのは、神崎莉緒(かんざき りお)から届いた一通のメッセージだ。 それは腰に刻まれたハートのタトゥーの写真。 そして、添えられていたのは、たった一行の挑発だ。 【彼、毎日ここにキスするよ】 その短い言葉に、私は心臓をぎゅっとつかまれる。 だって、かつての私の腰にも、同じタトゥーがあったから。 あのころ――隼人は、命を落としかけるほどの勢いで十八歳の私を求めていた。
Short Story · 恋愛
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2年間も付き合った彼氏に純粋無垢な女の子のほうが好きだと言われた

2年間も付き合った彼氏に純粋無垢な女の子のほうが好きだと言われた

彼氏があの方面の能力が強いので、私たちは愛し合う度に新しい刺激を求める。 そんな時、彼はいつも私をこうなだめる。 「君が卒業したら、俺たちは結婚しようね」 私はその言葉を信じ込んだ。 だから早期卒業を目指し、一所懸命に単位を取る一方で、夜遅くまでテクニックを学び、彼の身体を満足させるために努力していた。 ところが、ある日、学習が遅くなり門限に間に合わず、バーにいる彼を探しに行ったら、偶然彼と彼の友人の会話を耳にした。 「時安さんの彼女って本当にふしだらな女か?」 「もちろん本当よ!時安さんが自ら調教したんだよ」 「じゃあ、谷川雅子(たにかわまさこ)は?」 時安は煙を吐き出しながら、優しい目をして言った。 「彼女は違う、彼女はとても純粋だ」 この瞬間から、私は彼を憎み始めた。 学校に戻ると、すぐに教授に電話をかけた。 「先生がおっしゃっていたその秘密のプロジェクトに、私も参加したいです」 これから、私の人生を国に捧げると決めた。
Short Story · 恋愛
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末永くつき添いたいと願ったのに

末永くつき添いたいと願ったのに

【三十五歳の女って、どんな匂いだ?】 白野里奈(しらの りな)の腰はまだだるく痺れており、全身の汗が冷めやらないうちに、緋村誠(ひむら まこと)のスマホの明るい画面がふと目に入った。 「親友グループ」のチャットに、そんなメッセージが投稿されていた。 男の熱い胸が再び彼女の背中に押し付け、首もとでの呼吸が荒くなっていく。 「いいお姉ちゃん、もう少し付き合って……」 里奈は口元をわずかにゆるめ、スマホから視線をそらした。 もう三十五歳だ。彼氏のスマホをチェックするような習慣は、とっくにない。 考えるべきは、十歳も年下でエネルギーに満ちたこの男を、どう落ち着かせるかだ。 二人は夜中までやり続け、里奈は幾度も疲れで意識が途切れたが、目を覚ますたびに、またあの光るスマホの画面が目に飛び込んできた。 彼女は消そうとしたが、指先が思わず固まって動かなくなった。 誠という調香師には、自分はどんな香りに感じられているのだろうかと、ふと興味が湧いた。 指先で軽く上にスクロールすると、彼の返信が針のように突然目に飛び込んできた。 【三十五歳の女?加齢臭がするよ】
Short Story · 恋愛
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心に染み付いた感情に気付いた時

心に染み付いた感情に気付いた時

夜の6時、宇川康穂(うかわやすほ)はいつも通りキッチンに入り、いつも通りの夕食を用意した。 7時、康穂は浴室に入り、風呂の用意を済ました。 8時、康穂はパジャマとスリッパを用意し、扉の前であの人の帰りを待っていた。 だがいつもとは違い、立川司(たちかわつかさ)は帰ってこなかった。代わりに一通の電話が彼女の元に入って来た。
Short Story · 恋愛
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覆面ディーヴァの俺は最愛の我が子に子守歌を唄いたい

覆面ディーヴァの俺は最愛の我が子に子守歌を唄いたい

二〇××年、環境の劣悪化により惑星全土を人工管理下に置いた地球の日本・東京。  そこで唯人(ゆいと)は世界的覆面歌手・ディーヴァとして活躍していた。 天涯孤独の身の上から、自分と愛し合っている恋人の朋拓(ともひろ)との血を分けた家族を持つことに憧れている。そのためであれば、政府が推し進める「コウノトリプロジェクト」と呼ばれる、進化した医学技術の治療により男性でありながらも妊娠・出産することを決意する。  しかし朋拓はプロジェクトに反対で協力が得られそうになく、それでも我が子を望む唯人は朋拓に事実を隠したまま治療を続け妊娠可能期に入るも、思わぬ形で治療のことが知られ――
BL
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生まれ変わって家族から逃げたら、みんな後悔し始めた

生まれ変わって家族から逃げたら、みんな後悔し始めた

生まれ変わった私は、家族と恋人を蛇蝎のごとく避けている。 彼らが私の誕生日を祝おうとすれば、出張だと嘘をついた。 両親が実家に戻ってこいと言えば、即刻自分でマンションを買った。 恋人からプロポーズされても、その足で別の男と婚姻届を出した。 前世、妹と二人で洪水に流され、私は運良く木の枝に引っかかり助かったが、妹は溺れ死んだ。 すると両親は私の首を絞め、罵倒した。「お前のせいで、瑠奈(るな)が死んだんだ!」 恋人は何事もなかったかのように私を慰め、そのまま結婚した。 しかし結婚記念日、家族旅行で乗ったクルーズ船のデッキから、私は彼ら自身の手で突き落とされた。 「お前も味わうがいい、溺れ死ぬのを!」 そうだ、彼らは全員、瑠奈妹が死んだのは私のせいだと思っていたのだ。 恋人が心の底から愛していたのも、ずっと瑠奈妹の方だった。 だから今世は、自分のために生きる。 再び目を開けると、私は、瑠奈妹と二人川に落ちたあの日に戻っていた。
Short Story · ラノベ
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黒の騎士と三原色の少女たち

黒の騎士と三原色の少女たち

四方院家。 それは天皇を始め世界中の王族や裏社会とコネクションを持つ大家である。 四方院家の命令で特別相談役の水希桜夜(みずきおうや)は青森に向かっていた。そこで自身の運命を揺るがす出会いがあるとも知らずに……。 挿絵はXで見れます! https://x.com/b9SphOvgPtAUb3i/status/1915663746849968499
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