結婚してから2年、法律上の妻は私ではないことに気づいた
夫と結婚して2年も経ったが、ペアローンを申し込もうとした時までは、彼の法律上の妻が別人だったことは知らなかった。
そうだったか。私との「結婚式」というのは単なる私的な儀式に過ぎず、正式に提出された婚姻届には別の女性の名前が書かれたのだ。
法律上では、私は彼の妻ではなく、ただの愛人だった。
傷心して家に帰ると、ドアの外で夫と彼の親友との会話が聞こえた。
「いつも神経が張り詰めているお前を見ていると、こっちまで疲れるよ。まったく!鈴子(すずこ)ちゃんをあれほど愛しているのなら、なぜあの山下美幸(やました みゆき)と婚姻届を出したんだ?お前、一体何を考えているのだ」
宮崎誠(みやさき まこと)は不思議そうに尋ねた。
橋本隆祐(はしもと たかすけ)は複雑な表情を浮かべ、心が混乱しているように口を開いた。
「最初は、美幸のことを鈴子の身代わりだとしか思わなかったが、でも、美幸が去った後、僕は寂しくなり……ほぼ毎日、彼女が恋しくてたまらなかった。結局、彼女をアシスタントとして呼び戻さずにはいられなかった」
数秒後、彼はため息混じりに話し続けた。
「僕には鈴子も美幸も必要だ。だから、鈴子には正々堂々と一緒に暮らしてあげてる。その代わり、美幸には法律上の妻という身分を与えたのだ。公平だろ?」
ドアの外で、私は体が震え、心が引き裂かれるような痛みを感じ、世界が崩れ落ちたような感覚だった。
「鈴子も美幸も必要だ」という彼の言葉を聞いてはじめて、彼が二人の女性を同時に愛してしまったと分かった。
彼は幼なじみの私と一緒にいながらも、愛人も手放したくないようだ。
彼にとって、自分が特別な存在で、彼に至れたり尽くせたりで守られる大切な人だと思い込んでいた。
しかしながら、彼は私をバカにして、私の気持ちを踏みいじった。
真相がわかった時、私は泣きもせず、騒ぎもせず、ただ静かにその場から立ち去った。
そして、計画2件を立て始めた……