過ぎ去った日々
松原家当主である松原氷雨(まつはら ひさめ)が事故で障害を負った後、結婚相手を公募していた。それは都の社交界で話題になった。
私の父である蘇我昭二(そが しょうじ)はすぐに私の情報をアップロードした。
「本当に真木さんと別れたいなら、松原家に入れるか試してみろ」
私は断固として反対し、スマホを奪おうとしたとき、彼に強くビンタされた。
「この件はお前が決められることではない」
行き詰まった私は、神原真木(かんばら まき)に助けを求めるしかない。彼だけが昭二の考えを変えられるから。
しかし、偶然にも私は彼らの会話を聞いてしまった。
「真木さん、ご心配なく。松原はただの障害者だ。詩葉(うたは)は高慢だから、絶対に彼を気に入らないはず。彼女はもうすぐ泣きながら、復縁を求めに来るさ」
真木は軽く笑った。
「瑠々(るる)は子供が欲しいだけだ。俺はただ助っ人として、彼女と何回寝ただけ。詩葉がこの程度のことで拗ねてるなんて。でも、やはりおじさんってやり手だな」
私は全身の血液が凍りついたように感じ、奈落の穴に落ちたような気分だ。
実は、私はずっと彼らに騙されていて、後ろ盾もない。
そして、松原家が本当に私を選んだとき、彼らは慌てた。