絶望の産声、息子の命が開いた夫婦の終幕
夫・藤崎遥斗(ふじさき はると)の初恋の人に突き落とされ、私は二人目の子を難産で失ってしまった。そして、藤崎家の私立病院の階段の片隅で、ひっそりと息を引き取った。
死の間際、六歳の息子が泣きながら夫に助けを求めた。
一度目、遥斗はただ冷たい笑みを浮かべただけだった。「お前の母親も賢くなったもんだな。子どもを使って、俺の同情を引こうとしてるか」
そう言って、息子の手を振り払うと、何のためらいもなく背を向けて去っていった。
二度目、息子が「ママが血を止められないんだ!」と必死に訴えた。
遥斗は面倒そうに顔をしかめた。「大げさだな。流産しただけで、そんな大したことじゃないだろ。あいつは本当に大袈裟な女だ」
息子を追い払った後、彼は医者に命じた。「誰もあいつの面倒を見るな。どうせ俺が甘やかしたせいだ。少し苦しみでもしなきゃ、自分の過ちに気づかない」
最後、息子は彼の初恋の人の前で、膝をつき、頭を床に打ちつけてまで必死に頼んだ。
遥斗は逆上し、傷だらけの息子をボディーガードに命じて病室から放り出させ、周りの人間たちの嘲笑の的にした。
「美帆の療養を邪魔したら、お前の母親を藤崎家から追い出して、二度とお前に会わせないぞ!」
息子は血の跡を引きずりながら、私のもとに這い戻ってきた。
これであなたの望みは叶ったわね。
私も、息子も、二人とも冷たい死体となり、永遠にあなたと再び会うことはない。