あの日の鐘、いまは灰
月の輝き甘々シリアスひいき/自己中不倫妻を取り戻す修羅場後悔
結婚前夜、5年も付き合ってきた婚約者の榊原燃(さかきばら もゆる)が、2人でコツコツ貯めてきた結婚資金600万円を、同僚の女性に貢いで家を買っていた。
いつも彼の車に下着を置き忘れるその女は、今や私たちの隣人に収まっていて、私が自分のお金で買った洗濯機を撫でながら笑ったんだ。
「このボロい家電、燃さんがくれるって」
燃の母親は私を「田舎者は格式がなってない」と罵り、それに対して、例の女性同僚はSNSに、彼に贈られたらしい新車を載せた。
【上司が『ストッキングのままじゃ足が凍えるから』って言ってくれて】
流産したその夜、燃は自殺しようとしたその女を抱きかかえ、血の気の引いた私に向かって怒鳴った。「もし彼女が死んだら、お前が責任取れんのかよ!」
私は微笑んだまま、大富豪の母からの電話に出た。「新郎は、変えてください」
すると、5人の義兄たちが即座に動いて、20人ものお見合い相手を送り込んできた。
「陸川家の御曹司ったら、10年前から君に片想いで、結納金にビル10棟分だってさ。常識外れだよ」
結婚式当日、燃はその女のために二十回目の婚約破棄をした。しかし彼はまだ知らない。私はもう別の誰かのために、花嫁のベールを被ることを。