婚約者の愛人がダイヤを一円で売った
ブラックフライデー当日、婚約者の天然系の助手が、一カラットのダイヤモンドを一円で売り払った。
わずか二十分で、会社は四十億円の損失を出した。
私は怒りで全身が震え、上林高行(うえばやし たかゆき)は私を抱き寄せて慰めた。
「心配するな。俺に任せろ」
しかしその夜、池中咲月(いけなか さつき)はインスタに1122万円の送金画面を公開し、こう添えた。
【今日は大きな失敗をしてしまったけど、社長が慰めてくれた。あばずれのことで怒らないで、いい子にしてろって言われた~】
私はその下にコメントを残した。
【末永くお幸せに】
咲月は即座に投稿を削除した。すると、高行が突然部屋に押し入ってきて、私の頬を思い切り平手打ちした。
「咲月にいいねして、どういうつもりだ!彼女は今、恥ずかしさのあまり自殺しようとしてるんだぞ!
たかが四十億円の損失だろう?それで人を生きていけないところまで追い詰めるのか?」
彼は正義を振りかざすかのように言い放ち、まったく恐れを感じさせない態度を示した。
だが後になって、食事代の五百円すら出せなくなったとき、彼はなぜ泣いたのだろうか。