転移女社長、借金工房を救うため公爵と契約結婚します
かつて日本で化粧品ブランドを立ち上げた女社長・天野澪。
すべてを失った夜、最後に手に取ったのは自分で調香した一本の香水だった。
その瓶が砕け、香が光へと変わった瞬間――彼女は異世界に“転移”する。
目を覚ますと、そこは香りが生活を支える王都・ルーメン。
倒れていた澪を助けたのは、小さな香工房の老職人だった。
弟子たちと共に働き、再び「香りで人を救う」日々を見つけた矢先――
師匠の死と共に、工房には借金と契約違反が残されてしまう。
職人たちは路頭に迷い、店は取り壊し寸前。
それでも澪は諦めなかった。
「人の手で作る香りには、まだ価値がある」
その信念で工房を継いだ彼女の前に現れたのは、
冷静で誠実な南領公爵、レオンハルト・ラウヴェン。
彼は言う。
「形だけでいい。──あなたが動ける権限を、今すぐ用意する」
工房を守るために、澪は公爵との“契約結婚”を受け入れる。
利害だけで結ばれたはずの婚姻は、やがて
「信頼」と「愛情」を静かに混ぜ合わせていく。
灰のような現実の中で、
香りはもう一度、人を癒すことができるのか。
壊れかけた工房を舞台に、
異世界で再び立ち上がる女と、不器用な公爵の
あたたかくて少し切ない再生ラブストーリー。