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長い霧の先に、夜明けの光

長い霧の先に、夜明けの光

二宮梨花(にのみや りか)は、松井竜之介(まつい りゅうのすけ)にまる5年も片思いをしていた。 彼のために、故郷から遠く離れたこの街に残ることを決めたのだ。 竜之介の婚約者が婚約パーティー当日に逃げだすと、梨花は迷うことなく前に出て、その婚約の証である指輪を受け取った。 竜之介が自分を愛していないことなんて、梨花はとっくに分かっていた。 結婚式の当日、藤井渚(ふじい なぎさ)が、「胸が苦しいの」と一言つぶやいただけで、竜之介は梨花を置き去りにし、渚のもとへ駆けつけた。 周りの誰もが梨花を笑った。竜之介という大木にしがみつく惨めな蔦のようだ、いつまでも目が覚めない愚か者だ、と。 彼女自身でさえ、かつてはそう信じて疑わなかった。 けれど、どんなに深い想いも、無視され、冷たくあしらわれ、何度も後回しにされ続ければ、いつか静かにすり減って、消えてしまうものだ。 そして、竜之介がようやく梨花を振り返ったときには、かつて、ありったけの愛で彼のそばにいてくれたあの女の子は、もう遠くへ去ってしまっていて、二度と振り返ることはなかった。
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夜明けと共に忘れるはずの恋だった

夜明けと共に忘れるはずの恋だった

親が経営する会社の最重要取引先である遠藤製薬の息子の陸に気に入られ結婚をせがまれた美月。一回は断るも、五年交際していた彼から突然の別れ、そして取引停止など陸は圧力をかけてくる。倒産危機を回避するため陸との結婚を決意する美月だが、陸は美月を『モノ』としか見ていなかった。「俺が求めているのは若くて綺麗な女だけ。妊娠して太ったら醜いし、賞味期限切れに用はない。」美月は耐えられなくなり夜の街へ繰り出し、偶然、世羅に出会い一夜を共にする。世羅の優しさは、元の生活に戻り、陸との生活に耐えるためには邪魔をする。この恋は夜明けと共に忘れなくてはならない――― そう思った美月は、世羅に何も言わずに部屋を後にした
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あなたが奪い去った七年の歳月

あなたが奪い去った七年の歳月

帰宅すると、玄関の合鍵が一本減っているのに気づいた。 岩崎翔太郎(いわさき しょうたろう)に尋ねると、なくしたと言う。 私・本間千夏(ほんま ちなつ)は少し戸惑った。 だって、彼は普段、暗証番号しか使わないのだ。 鍋で油の跳ねる音を聞きながら、それ以上深くは追及しなかった。 しかし、シャワー室の排水口に、一本の髪の毛が張りついているのを見た。 長くて、縮れていて、ワインレッドの髪。 だが私はショートカットだ。 スマホが鳴った。翔太郎のアシスタント、宮原愛梨(みやはら あいり)からのメッセージだ。 【本間さん、先日、翔太郎さんから合鍵を預かりまして。何かと便利かと、と】 何に便利なのか。私は聞かなかった。 ただ、いつも通りに風呂の温度を37度に設定し、作りたての栄養スープをベッドサイドに置いた。 翌日、私は玄関の鍵を取り替えた。 そして、翔太郎の会社のlineグループに、こう書き込んだ。 【鍵を交換した。宮原さん、新しい鍵が必要でしたら、私のところへどうぞ】
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振り返る先に、泡沫の誓い

振り返る先に、泡沫の誓い

藤原深也(ふじわら しんや)の浮気を初めて知ったのは、私たちの新居でのことだった。 若くて血気盛んだった私は、その場で離婚すると言い出した。 すると深也は「酔ってて、人違いをしたんだ」と泣き出して、私の前にひざまずいて許しを乞うた。 「どうしても離婚するって言うなら、俺今すぐここから飛び降りてやる!」 その一言で、私はつい情にほだされてしまって、それから5年が過ぎた。 この5年間、彼はずっと優しくしてくれていた。あの夜の出来事なんて、まるでなかったかのようだ。 周りの人たちも、「深也は死ぬほど君を愛してるよ」と口を揃えて言っていた。 そんなある日、深也の母親――藤原和子(ふじわら かずこ)の60歳の誕生日パーティーで…… 和子が突然、深也にこう聞いた。「深也、私の孫は?どうして来てないの」 私は一瞬きょとんとした。勘違いでもしているのかと思って、慌てて笑顔で答えた。 「お義母さん、忘れちゃったんですか?私の出産予定日、まだ2ヶ月も先ですよ」 すると和子は、冷ややかな目でちらっと私を見て、ボソッと呟いた。 「ああ、あんたはまだ知らなかったのね」 胸がざわつき、思わず深也の方を見た。彼は落ち着いた様子で箸を置いて、まるで何でもないことみたいに言った。 「実はさ、俺、息子がいるんだ。もう5歳になる」
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遠ざかる月と星、遠く過ぎた恋

遠ざかる月と星、遠く過ぎた恋

神谷晴佳が刑務所を出たその日、外は冷たい雨が降っていた。 風に乗って雨粒が肌を刺し、刑務所の門前には報道陣が押し寄せていた。 「神谷さん、水月ノ庭事件であなたの依頼人が敗訴し、半年前に飛び降り自殺しました。遺族の方があなたに責任を問うてますが、どうお考えですか?」 「神谷さん、弁護士連合会から除名され、あなたの恩師も引退に追い込まれました。この件について一言お願いします!」 記者たちがどれだけ問いかけようとも、晴佳はただ黙ってうつむいたまま前へ進み、人混みをかき分けるようにして出口へ向かった。 道端には黒いゲレンデが停まっていて、夫・神谷誠司が車にもたれながら煙草を吸っていた。 その隣で、宇佐見美月が彼の腕を軽く引っ張り、誠司が視線を門の方に向ける。 そこで、現した姿は……
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夫がゲイで親友と恋仲だった件

夫がゲイで親友と恋仲だった件

流産の手術を受けたその日、夫の福山京介(ふくやま きょうすけ)は「親友」の個展のために、プライベートジェットでパリへと発った。 翌日、ネット上を席巻したのは、セーヌ川のほとりで唇を重ねる二人の写真。 さらにその「親友」は、薬指にペアリングが光る手の写真をSNSに投稿し、気取った一文を添えていた。 【真実の愛に、言葉はいらない】 抜け目なく、京介のアカウントがタグ付けされている。 私は乾いた笑みを漏らした。名門・矢代家の跡取り娘であるこの私、福山蘭(ふくやまらん)が、まさか男の恋人のカモフラージュにされていたとは。 上等だわ。けれど、この私を欺いた代償――払いきれると思わないことね。
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風と共に過ぎ去った思い出

風と共に過ぎ去った思い出

「手術は無事に終了しました。胎児は完全に排出されて、子宮内に残留物は一切ありません」 結婚三周年の記念日に、葉山桐子(はやま きりこ)はまだ生まれていない我が子を失った。 「桐子!大丈夫なの?」 白衣を着た親友の白野美苗(しらの みなえ)が慌ただしくドアを押し開け、心配そうに声をかけた。 「信之が浮気したの」 桐子の表情は暗く沈んでいる。 三年前、彼女が小山信之(こやま のぶゆき)と婚姻届を提出したあの日。 桐子は信之に言った。「もし浮気したら、あなたのもとを永遠に去る」 そのとき信之は神に誓うように言い切った。 「浮気なんて絶対しないよ。もししたら、社会的に抹殺されても構わない。それでもお前に合わせる顔がなくなるくらいの覚悟はあるから」 だが昨日、桐子はようやく知ったのだ。 信之が自分に隠れて、佐伯遥(さえき はるか)と半年以上も一緒に暮らしていることを。遥は、彼女と同じようにすでに二か月の身ごもりだった。
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没落令嬢の家政婦契約 ~冷酷CEOは、初恋を逃さない~

没落令嬢の家政婦契約 ~冷酷CEOは、初恋を逃さない~

「もう俺の前に現れるな」――冷酷に突き放されたはずの初恋。 没落令嬢の莉子は、母の手術費を稼ぐため家政婦として働くが、その主はかつて残酷に傷つけた元隣人の天道征也だった。 かつての貧しい青年は、今や巨大コンツェルン「天道ホールディングス」を率いる冷徹なCEO。彼は莉子の窮状を見透かし、「24時間、主人のあらゆる命令に即時従う」という家政婦の枠を超えた支配的な契約を突きつける。 「要塞」のような豪邸で、牙を剥く彼の執着。 「俺が命じれば、たとえ服を脱げと言われても従え」 これは復讐か愛か――。再会から始まる溺愛と支配のロマンス。
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誰かと添い遂げる人生より、自由に羽ばたきたい

誰かと添い遂げる人生より、自由に羽ばたきたい

皮膚移植の手術が終わって、麻酔が完全に切れても、夫の佐野勇太(さの ゆうた)は現れなかった。 うつ伏せになって、体を動かせない佐野梓(さの あずさ)は、スマホを手に取った。一体何をしているのかと勇太に連絡しようとした、その時。あるトレンド記事が目に飛び込んできた。 【男にとって『愛』と『責任』は別物なの?】 梓は、なぜかそのタイトルに吸い寄せられるように、その記事をタップした。 最初のコメントは、まるで戦利品を自慢するかのような、率直な文だった。 【もちろん、全然ちがうに決まってる。彼が自分の妻に感じてるのは、ただの責任。でも私には愛情がある。その差は大きい】 コメント欄には非難が殺到していた。 しかしそのコメ主は、見下すような口調で一つ一つ返信していた。 高評価コメントの一つに、こんなものがあった。【どういう気持ちでそれを言ってるの?どうせ不倫相手でしょ?】 コメ主は返信した。【ううん、愛されてるってこと。あの男は毎年決まって2ヶ月間、私の家に来てくれるの。どんな時でも。妻の両親の命日ですら、私の隣にいてくれた。『お前の顔を見てると、ホッとできる』だって】 その文章を読んだ途端、梓は息ができなくなった。背中の手術痕がドクドクと脈を打つように痛みだした。
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裏切られた妻、夫に愛人から平手打ちを受けさせられた痛み

裏切られた妻、夫に愛人から平手打ちを受けさせられた痛み

祖父が亡くなったことを、夫に伝えに行った。 ホテルの個室に入った瞬間、夫の愛人・宮野美桜が思いっきり私の頬に平手打ちをくらわせた。 あまりのことに私は反射的に反撃したが、周囲の人間たちは「器が小さいな」と笑った。 「美桜は悪役の脇役をつとめるが、純粋なタイプで人を殴るのが苦手なんだ。お前を練習相手にしただけで何が悪い?」 夫はそう言い放った。 彼は私が決してそばを離れないと、思い込んでいるのだ。 だが、彼が忘れてしまったようだ。 この結婚は、そもそも祖父の意向で決まったものだったことを。 祖父はもうこの世にいない。 だから―― 私も、ここを去るつもりだ……
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