私の結婚式の日、花嫁は姉だった
結婚式当日、両親が突然、婚約者を連れて私の部屋に現れた。そしてこう言った——
「今日の花嫁、結月じゃなくて、思羽にしてほしいの。
お姉ちゃん、もう長くないの。末期の病気で……彼女のたった一つの願いが、湊一と結婚することなの。
実の妹でしょ?少しぐらい譲ってあげなさい。家族のために、お願い」
婚約者の朝霧湊一(あさぎりそういち)も隣でこう続けた——
「心配しないで。ただのセレモニーだよ。彼女が逝ったあと、正式に籍を入れればいい。ね?」
私はもちろん、首を縦に振らなかった。
すると、父と母は無言で私の手足を縛りあげた。
「式が終わったら、ちゃんと出してあげるから」
でも——
彼らが家を出てから間もなく、部屋にひとりの男が押し入ってきた。
知らない顔、知らない声。
そして、私は……
何の理由もなく、残酷に命を奪われた。
ようやく私の存在を思い出したとき、家族の目に映ったのは、腐り果てた私の死体だけだった——