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世界で1番自由な首領

Author: 一一
last update Last Updated: 2025-08-29 20:00:00

「まぁ、大抵の事は手紙に書いてあったんだが、てめぇの口からも聞いとかねぇとな?」

そう言いつつ笑みを浮かべ、レイを見つめるディード。

(まるで捕食者ね)

それに対し、レイがディードに抱いた第一印象はこれだった。

鍛え上げられつつも、しなやかさも併せ持つ肉体。

薄い金色の髪から覗く獣耳。

そして獰猛な笑みと相対した者を射竦める様な鋭い眼光。

その全ての要素が凶暴な肉食獣を思わせる。

それは敵を威圧し、味方を魅了するカリスマの様で。

(…っ!呑まれるな!今更臆してどうするの!)

その雰囲気に圧倒されそうになるレイ。

しかしかつて出会った『柒翼』達を思い出し…

「私達は…」

「貴方に訊きたい事があって来たのよ、ディード・ホグウェル」

ニイルの言葉を遮り、敢えて挑発的な態度をとって意識を切り替えた。

レイの態度に部屋内の空気も変わり緊張感が走る。

亜人達がレイに敵意を向け始める中。

「ハッ!良いねぇ!気の強ぇ女は嫌いじゃない」

当の本人であるディードは、寧ろ愉快そうに笑みを深めていた。

それに他の亜人達の空気も正常に戻っていく。

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