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好きならば 02

ผู้เขียน: 市瀬雪
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-10-23 06:00:03

   ***

「ここでいいよね」

 そう言って木崎がドアを開けたのは、店からそう遠くない居酒屋だった。

 以前にも木崎に連れられて来たことがあったこの店は、暗めの照明といい、控えめにかけられているジャズといい、居酒屋と言うよりは一見おしゃれなバーを思わせるような佇まいだったけれど、メニューや客層は確かに居酒屋然としているものも多く、その店内の様子も、常に個人的な話をしても気にならない程度の喧騒――うるさすぎず、静かすぎず――に包まれていた。

 暮科も何度か連れて来られたことがあるらしく、居酒屋と言うわりに酒の種類が豊富だと、いつだったか教えてもらったこともある。

 それなりに広いフロアには、個室のテーブル席もいくつかあり、希望すればカウンター席にも座ることができる。カウンター席は一段と照明が落とされており、一人飲みの客にも人気なようだった。

「で、さっそくだけどさ」

 そんな中、俺と木崎に用意されたのは、まだ誰も座っていないカウンターの端の席だった。予約なしの飛び込みだったからか、時間のわりに個室を押さえることができず、それならと木崎が希望した場所だ。

 とりあえず、と揃って生ビールを注文し、一旦店員が姿を消すと、

「この前の女の人って……もしかして、河原の元カノ?」

 まるで待っていましたとばかりに、木崎が口を開いた。

「えっ……」

「やっぱそうなんだー」

 そのうち何か聞かれるかもしれないと思ってはいたけれど、こんなにも直球で来られるとは思わなかった。

 思わず返答に詰まった俺に、木崎は勝手に納得し、束の間考え込むように頬杖をつく。

 なんとか言い繕おうにも、まったくその通りなので言い訳もできない。俺が固まったままでいると、木崎はおもむろに俺の方を見て、

「その話、今つきあってる人には?」

 またしても不意打ちのように言った。

「え……いや、言ってないけど」

「やっぱり……」

「やっぱり?」

 ひとつ瞬いて問い返すと、ちょうど店員がビー

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