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父の思い

작가: 紅城真琴
last update 최신 업데이트: 2025-06-26 10:57:19

数日後、たまたま誰もいない時間に父が病室を覗いた。

「1人か?」

「うん。渚はみのりさんと出かけてる」

「お母さんだろ、気を付けなさい」

「はぁい」

あーあ、言い直されてしまった。

確かに、彼のお母さんを名前で呼んでる私って非常識かもしれない。

病室に入ってきた父は、窓際に置かれたソファーにどっかりと腰を下ろす。

父とはここしばらく冷戦状態のはずだけれど、一体何の用事だろうと私もソワソワしてしまった。

「彼はいつまでこっちにいる気なんだ?」

え?

もしかして渚が目障りだとでも言うのだろうかと、ムッとしながら父を見返す。

「なあ樹里亜。父さんが古い考えなのかも知れないが、男は仕事が一番でなきゃダメだと思うんだ。もちろん色んな生き方があるだろうし、それを否定する気はない。でも、お前も同業者だから分かるよな、いついなくなるか分からない医者なんて信用できない。病院に入れば、家族に病人が出ても、目の前の患者を診なくちゃいけない。私の知っている高橋君は優秀で、仕事が好きな若者だった」

うん、知ってる。

渚は救命の現場が好きだったし、彼の能力を生かせる職場だと思う。

「そろそろ帰してやらないか?」

「それは・・・」

私は返事ができなかった。

「お前は、母さんから自分の出生の状況を聞いたんだよな」

「うん」

もちろん驚いたけれど、話してもらってうれしかったし、そのことを機会に両親や家族に対する見方が変わった。

「お前の誕生には少なからず私にも責任があると思ってきた。だから、厳しくもしたし、やりたいことは何でもさせてきたつもりだ」

確かに、私立中学からわざわざ公立高校に行きたいと言ったときも、東京のお金がかかる大学に行きたいと言ったときも、反対はされなかった。

一人暮らしだって、始めは反対されたけれど結局は認めてもらった。

「今回のことも、お前が望むことなら仕方がないと思っている。ただ、い
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  • 満天の星   満天の星 ②

    さすがに新婚旅行は行かなかった。でも1つだけ、私はお願い事をした。それは、渚と2人で軽井沢の別荘に行くこと。家からの距離もあり心配だと渋る母さんに、「医者が着いてるんだから大丈夫。何かあればすぐ連絡するから」と押し切った。久しぶりに来る軽井沢は、子供の時来たまま変わっていなかった。私達が来るに為に随分綺麗に掃除をしてもらったようで、中も外もピカピカ。食材もたくさん買い込んでくれていた。「すごい。冷蔵庫が一杯だよ」嬉しそうな声を上げる渚。今は秋ということもあって、暖炉の薪までちゃんと用意してある。「樹里亜、何か食べたいものがあれば作るよ」「うーん、お味噌汁」渚の作るお味噌汁が食べたい。「了解」早速お米を研ぎ始める。「おかずは私が作るね。と言ってもソーセージと目玉焼きだけど」フフフ。2人笑い合いながら、ささやかな夕食が出来上がっていく。「いただきます」用意してあった冷蔵庫の常備菜を出しながら、渚の作ったお味噌汁を堪能した。夕食後、2人で外へと出た。手入れされた芝生の上に寝転びながら、空を見上げる。「うわー、綺麗」「本当だな」ちょっと手を伸ばせは届くんじゃないかと思ってしまう程、近く感じる星空。子供の時見たのと同じ。この星空は、幸せだった子供時代の象徴。あの頃に戻りたいと、ずっと思ってきた。でも、今は違う。私は大人としての幸せを手にしたから。「満天の星だな」「うん。そうね」本当に、空一面の星空。この輝き一つ一つに長い時間が流れている。そう思うと、自分の悩みがちっぽけに思える。私は両手を突き上げた。「届かないよ」「分かっているわよ」

  • 満天の星   満天の星 ①

    私も渚も、結婚式なんてしなくてもいいと思っていた。すでにおなかも大きくなっているし、体調を考えてもそれどころではない。赤ちゃんが無事に生まれて、落ち着いたころその気になれば写真だけ撮りたいと母さんにお願いした。しかし、「娘の結婚式もできないなんて絶対に嫌よ。ささやかでも結婚式をして、みんなに祝ってもらわないとダメよ」って言い張られた。まだ母さん1人なら説得できたかもしれないけれど・・・みのりさんまでが、「結婚式はしましょう。私には娘がいないから、樹里亜さんの花嫁姿が見たいわあ」なんて言い出した。結局、両家の両親と兄弟、親しい友人達だけを呼んでささやかなパーティーを開くことにした。場所は大樹の友人の営むレストラン。色々と気を遣ってもらい、沖縄の食材をふんだんに使ったコース料理が用意された。私も真っ白なドレスを着せてもらい、タキシード姿の渚と並んだ。梨華と桃子さんの手配で、会場は綺麗な花々で飾られている。かわいらしいドレスを着せてもらった結衣ちゃんは、フラワーガールを務めてくれた。父さんと母さん、みのりさんと沖縄のお父さん、母さんのテーブルの上にジュリアさんも写真も飾られた。何も儀式的なことはなく、神父さんもいないパーティー。このまま食事をして終わるんだろうと思っていると、「すみません。ここで新郎新婦から一言あります」大樹がいきなり言い、渚が立ち上がった。ええ?驚いていると、「樹里亜」立ってと、目配せされた。2人並んで立ち会場を見ていると、渚が話し始めた。『お忙しい中集まってくださった皆様、本当にありがとうございます。私達は今日ここに夫婦として歩んでいくことを決めました。今まで、産み、育て、支えて頂いた皆様のご恩を忘れることなく、謙虚に、誠実に生きていきます。私高橋渚は、皆さんに約束します。どんなときも樹里亜を愛し続けます。いつも子供と樹里亜の側にいて、守っていき

  • 満天の星   選んだ道

    入院して1ヶ月。毎日ベットの上でおとなしくしているせいか、血液検査の結果も比較的安定してきた。まだいつ何があるかも分からないし、いつまでおなかで育ててあげられるのかも分からないけれど、ひとまず安定期にも入った。渚はいまだにつきっきりで寝泊まりしてくれている。みのりさんも母さんも大樹も毎日やってくるし、父さんもたまにだけど顔を出してくれる。「ねえ渚」1人せっせと病室の掃除をしている渚を呼ぶ。「何?どうした?」「あのね」私は一旦深呼吸をして、真っ直ぐに渚を見た。「もうそろそろ沖縄に帰らない?」「・・・」何を言われたのかわからないって顔で、私を見る渚。「あのね、私もできるならこうして一緒にいたいのよ。でも渚だって、そろそろ仕事がしたいでしょ?」「なんで急にそんなことを言い出すんだよ」いきなり私に帰れって言われて、渚はやはり不満そうな顔になった。「私の体調も良くなったし、働きもせずにここにいるのは人としてダメだと思うの。親である前に、1人の人間として真っ当に生きなくちゃ」渚のことだから親から援助で生活しているはずはないけれど、貯金を崩すぐらいのことはしているだろう。そんな生活を続けるのは、はやり良くない。「じゃあ、ここに復職するよ」それでいいだろと言いたそうな顔。「それはダメよ。沖縄のお父さんがあなたを待っているのよ。帰ってあげなくちゃ」自分でも何を言っているんだろうと思う。私だって本心では渚と離れたくはないけれど、やはり沖縄に帰るべきなのだ。「樹里亜はどうするんだ?」ふて腐れ気味に渚が口にした。「私は出産までここで頑張って、その後はちゃんと父さんと話すわ。時間はかかるかも知れないけれど、父さんを納得させた上で渚を追いかける」「沖縄に来る気?」「ええ」私はコクンと頷いた。

  • 満天の星   父の思い

    数日後、たまたま誰もいない時間に父が病室を覗いた。「1人か?」「うん。渚はみのりさんと出かけてる」「お母さんだろ、気を付けなさい」「はぁい」あーあ、言い直されてしまった。確かに、彼のお母さんを名前で呼んでる私って非常識かもしれない。病室に入ってきた父は、窓際に置かれたソファーにどっかりと腰を下ろす。父とはここしばらく冷戦状態のはずだけれど、一体何の用事だろうと私もソワソワしてしまった。「彼はいつまでこっちにいる気なんだ?」え?もしかして渚が目障りだとでも言うのだろうかと、ムッとしながら父を見返す。「なあ樹里亜。父さんが古い考えなのかも知れないが、男は仕事が一番でなきゃダメだと思うんだ。もちろん色んな生き方があるだろうし、それを否定する気はない。でも、お前も同業者だから分かるよな、いついなくなるか分からない医者なんて信用できない。病院に入れば、家族に病人が出ても、目の前の患者を診なくちゃいけない。私の知っている高橋君は優秀で、仕事が好きな若者だった」うん、知ってる。渚は救命の現場が好きだったし、彼の能力を生かせる職場だと思う。「そろそろ帰してやらないか?」「それは・・・」私は返事ができなかった。「お前は、母さんから自分の出生の状況を聞いたんだよな」「うん」もちろん驚いたけれど、話してもらってうれしかったし、そのことを機会に両親や家族に対する見方が変わった。「お前の誕生には少なからず私にも責任があると思ってきた。だから、厳しくもしたし、やりたいことは何でもさせてきたつもりだ」確かに、私立中学からわざわざ公立高校に行きたいと言ったときも、東京のお金がかかる大学に行きたいと言ったときも、反対はされなかった。一人暮らしだって、始めは反対されたけれど結局は認めてもらった。「今回のことも、お前が望むことなら仕方がないと思っている。ただ、い

  • 満天の星   2人で受診②

    月子先生の診察には、当然渚もついてきた。 本当は1人で行きたいけれど、やはりそうもいかなかった。 「渚、先に帰っていいよ」 「いや、一緒に行くよ」 「どうぞ」 少し不機嫌そうな月子先生に呼ばれ、私と渚は診察室へと入った。 「へー、意外ね。先生がパートナーだったの?」 「黙っていてすみません」 マジマジと渚を見つめる月子先生に、渚が頭を下げる。 その後、ちょっとの間だけ渚に説教をたれた月子先生は、私の診察を始めた。 「うーん。あんまり良くないわね。貧血が進んでるし、血小板も落ちてきている」 「はあ」 相づちを打ちながら、なんだか嫌な予感がした。 月子先生がこんな言い方をするときは、入院を勧められるとき。 嫌だなあ・・・ 「しばらく、入院する?」 やっぱり。 私は黙り込んでしまった。 「入院が必要な状態なんですか?」 渚が身を乗り出した。 「そうね、入院しないといけないって程の状態ではないけれど、赤ちゃんや母体のこと、その先の出産を考えるなら入院して治療する方をお勧めするわね」 月子先生も相手が渚だから、いつもより言葉を選んでいる印象だ。 「あのー、後1週間だけ自宅安静じゃダメですか?」 それでも私はねばってみた。 できれば病院ではなく、家で休みたい。 「樹里亜、わがまま言うなよ。入院してちゃんと治療した方がいい」 どうやら渚はすっかり入院のつもりになっているらしい。 それを聞いた月子先生も点滴や検査のオーダーを始めている。 これで、私の入院が決まってしまった。***そのまま

  • 満天の星    2人で受診①  

    渚とご両親が我が家を訪問して以来、父が口をきいてくれなくなった。同棲のことも、渚とのことも一切触れようともしない。「父さん、怒っているのよね」「怒らせた覚えがあるでしょ?」母に訊いても、当然よと返されてしまう。それでも、母とみのりさんは何度か外で会っているらしい。私も携帯を返してもらい、渚と連絡が取れるようになった。この先どうなるんだろうと考えると目の前には不安しかないが、こんな状態で家を出れば2度とここには戻れないだろうと分かっているから軽はずみなこともできない。渚は、「いざとなれば、沖縄を捨ててこっちに来る」つもりらしいが、出来ればそうはしたくないとも言っている。その気持ちは私も同じだ。「樹里亜、今日病院でしょ?1人で行くの?」ああ、そうだった。「うんん。渚と一緒」「そう」私は今日、初めて渚と検診に行く。***「なんだか恥ずかしいね」何て言いながら、元勤務先の病院へ渚と一緒の受診。 当然、受付でも、待合でも、次々と声をかけられた。 「樹里先生。おめでとうございます」 「あらー、お似合いですね」 「うそー、知りませんでした」 言われるたびに、私は渚の手をギュッと握った。 ずっと、この手を握りしめたいと思っていた。 だから、もう離さない。 「竹浦さーん。竹浦樹里亜さーん」 名前を呼ばれて診察してへ入ると、いつも診てもらっている産科の先生が迎えてくれた。 30代前半の若い女医さんだけど腕は確かで、今だって渚には気付かない振りをしてくれている。 産科ってデリケートだから、普段からパートナーについては詮索されない。 今までだって、『赤ちゃん

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