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【7】⑤

last update 최신 업데이트: 2025-08-11 16:00:40

 兄はそれを聞いてどう思うのだろうと気を揉んだけれど、彼は涼しい顔をしてうなずいていた。

 まるで、自分にはまったく関係のないことであると示すみたいに。

「初めてのデートってそういうものよね。漣、わかってると思うけどお父さんには内緒よ」

「はいはい、わかってる――俺はもう出るから」

 母が自身の唇の前で人差し指を立てて笑うと、兄は何度か適当にうなずきながら席を立った。

 そして、となりの椅子に置いていたバッグを手に取り、サッサと玄関へと向かってしまった。

「行ってらっしゃい」

「お兄ちゃん、気を付けて」

 母と私とがその場から声をかけるけれど、兄は「うん」と返事をしただけで、さきほどの話題に言及してくることはなく、家を出た。

「……お、お母さんっ、なんでお兄ちゃんに言ったりするの?」

 玄関の扉が閉まった音が聞こえるや否や、再び母を咎める。

「ごめんごめん、いやだった? でも心配しなくて大丈夫よ。漣は口がカタいから、お父さんに話したりしないでしょ」

 ……そういうことじゃないんだけど。

 心のなかで、音にはできない思いをつぶやきつつ、やはりまったく悪びれない様子の母は、後片付けのためにキッチンへ戻ってしまった。

 残された私は少しずつフレンチトーストを口に運びながら、今しがたのできごとを反芻した。

 ――お兄ちゃん、私が男の人とデートするって知って、どう思ったかな。

 あれだけ熱烈に好きだって訴えてたくせに、もう心変わりしたんだって呆れてる?

 それか、ホッとしてる? 私の興味がほかの男性に移ったほうが、兄にとっては好都合だろうから。

 いずれにしても、あまり関心がなさそうに見えたのは悲しかったな。そもそも、兄にとってはさほど気にならないことなのかも。

 ……当たり前か。お兄ちゃんにとって私はただの妹なんだもん。

 わかってるけど、現実として突きつけられるのはやっぱりつらいな……。

 いや
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