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~第十八話 悠馬の回りに集まる女性たち~ 飛鳥は絶対負けられない

작가: 倉橋
last update 최신 업데이트: 2025-09-24 05:11:06

 遠山飛鳥がちょっとスキップしながら歩くなんて珍しい。誰も気にしないように、そっとそっと這うように歩くのがいつものことだから。

 けれども最近の飛鳥は変わった。堂々と前を向き、一歩一歩、地面を踏みとめて歩くようになった。

 それは多分、誰かの影響といえないことはないはず。

 それにしてもこの道は、町はずれに続く川沿いの道。飛鳥の自宅への帰り道ではないはず。

 放課後。どうして飛鳥がこの道を歩いているのか。

 それは少し前のこと。桜花高校の天文部部室に遡らなければならない。

 天文部の荒川先生が、クラブの終わった後、飛鳥を呼び止めて話しかけてきた。

「ごめんなさいね。遠山さん、悠ちゃん、じゃなかった、悠くん、じゃなかった、朝井くんにクラブの資料を渡してくれない。彼、かけもちで天文部に入ったけど、忙しいからか、一度もクラブに来てくれないから……」

 飛鳥の心に、熱い炎が燃え上がった。

 荒川先生が悠馬の母、朝井芽衣の後輩で、悠馬のことを小さい頃から知っていることは理解しています。

 だけど「悠ちゃん」とか「悠くん」と言い間違えることまでは許せません。

 絶対わざとだ。「故意」に「恋」を邪魔しているのだ。

 恋する女性って敏感になる。だから今の飛鳥は、荒川先生が何を考えているか、薄々気がついていた。

 先輩たちも話していた。

「朝井芽衣博士は、荒川先生と自分の息子と結婚させるつもりみたい」

「ずいぶん年齢離れてるじゃない」

「男女逆ならそれほど珍しくもないけど」

「荒川先生、私たちより美人だし、朝井博士の後輩で助手だから構わないんじゃない」

 飛鳥は心の中で考えていた。

 「私たち」というのは、飛鳥も、そのひとりだというのか? 絶対、それは認められません。

 勉強、クラブ活動と今まで以上に頑張ってみせる。そうすれば、きっと輝くことが出来る。

 荒川先生に負けないくらいに。

 恋する飛鳥は、今はそう心から信じている。

 
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  • ~スーパー・ラバット~ムーン・ラット・キッスはあなたに夢中   ~第十八話④~ どうしてこうなるのでしょうか

     どこからか悠馬の声が聞こえてきたのである。「うさ子さん。いつまでも僕、うさ子さんから絶対に離れません。離れたくないんです」 ちょっと待って! こんなこと言ってないはず。「お願いです。もっと激しく、もっと強く、ああ、しっかりと僕のこと、抱きしめてください。ああ、はやくお姫様抱っこを」 悠馬の目が点になる。教えてください。何でこうなるの……。「それじゃあ、お小遣い三千万ください。それならあなたの言う通りになります」 エエーッ! ちょっと~。絶対、こなこと言ってはいない。 悠馬には理解できないことが続いている……。「ウフッ、分かった。悠ちゃんの言う通りにするからね。明日、一緒に三千万の預金口座、銀行につくりに行こうね」 ふたりの「愛の会話」が続いていた頃……。「今すぐ、彼女を攻撃しないんですか? それともエブリー・スタイン公子におまかせするんですか?」 悠馬の自宅近くの電柱の陰。美しきメイドが声をかける。ネイビーのワンピース。そしてフリルをあしらい後ろ姿が可愛いホワイトのエプロン。襟元にはネイビーのリボン。カチューシャにはネイビーのリボンとフリルをあしらっている。  そして長い脚には、ホワイトのクルーソックスにシルバーのシューズ。  すれ違えば誰もが振り向くだろう。  彼女にとってひとつだけ残念なことは、両目にを照らす冷たい光に、どこか怖さを感じることだろう。 メイドが話しかけている相手とは一体?

  • ~スーパー・ラバット~ムーン・ラット・キッスはあなたに夢中   ~第十八話③~ お小遣い二百万なんてどうしよう

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