Accueil / BL / BL小説短編集 / 例のアレ15

Partager

例のアレ15

Auteur: 相沢蒼依
last update Date de publication: 2026-03-13 06:58:14

狼狽える宮本の額に目がけて、橋本は笑いながらちゅっとキスを落とした。

「陽さん、無理してない?」

「くどいぞお前。俺がいいって言ってるんだから、思いっきりヤりやがれ!」

顔のすぐ傍で喚いたせいか、橋本の怒鳴り声が鼓膜まで響いた。

「ひ~っ、これから手を出させていただきます!」

しなくてもいい宣言をしつつ、橋本が着ているシャツのボタンを外していった。

「雅輝はやっぱりドМだよな」

かけられた声に、ボタンを外している手が止まった。

これからソファでおこなわれる行為を考えただけで、嬉しさのあまりに手が震えるせいで、外すだけでも一苦労していたところだった。

「そのことについては否定しませんけど、俺ってば何か醸してます?」

「俺に怒られてビビった声を出したくせに、顔は思いっきり笑ってるっていう、おかしなことになってるぞ」

「それはだって、ねえ。これから普段しないようなコトをいたすんですし、陽さんがどれだけ感じてくれるかを考えたら、ニヤニヤが止まりません」

何とかボタンを外し終えて、橋本の素肌に触れる。

「おいおい。張り切りすぎるあまりに、痛いコトだけはすんなよ。インプと違って、俺は
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé

Dernier chapitre

  • BL小説短編集   virgin suicide :貴方との距離

    次の日、いつもどおり出勤してきた山上先輩。 例の事件はもう終わったことなんだから、最初からなにもなかったことにしてしまえ。自分に何度もそう言い聞かせ、普段通りにしようと試みたんだけど……。 山上1000はを前にすると、どうにもぎこちなさを隠せない、不器用すぎて、呆れ果ててしまうくらいだった。 俺を見ている山上先輩の視線は相変わらずなのに、なぜか突き刺さるように感じてしまい、ぎこちなさに余計な拍車をかけてしまう。「水野、あのさ」「なんですか? 山上先輩……」 話し掛けられても、顔を向けることができなかった。目を合わせたら、自分がパニクる気がする。喉が渇いて変に張りついてしまい、これ以上の言葉が出せない。「……あのワイシャツ、返さなくていいから」 あのとき着せられた、妙に肌触りの良かった桜色のワイシャツ。某ブランド商品だったので、きちんとクリーニングに出してから、返却しようと考えていた。 俯きながら力なく、首を横に振ってみせる。「あんな高そうな物、戴けません……」 「おまえのワイシャツをボロボロにしちゃったのは、僕の責任だ。それにあれは……水野に似合うと思って、買ってあった物……だからさ」 そのセリフに、ドキンと胸が鳴った。 (買ってあったって……いつから用意していたんだろう?)「頼むから、受け取って欲しい。水野……すっごく似合ってたし、さ」「わかりました。ありがとうございます」 そう言って横目でチラッと見ると、嬉しそうな顔をした山上先輩と、バッチリ目が合ってしまった。 慌てて視線を外すと、山上先輩のププッと笑った声が耳に聞こえてきて、キィという椅子の軋む音をさせながら、俺の背広の裾をぎゅっと掴んでくる。「なにやってるんですか?」 迷惑というわけじゃないけれど、視線同様に気になる。体が無駄に、緊張してしまうじゃないか。「僕の精神安定剤だからね、水野は。触ってるだけで癒されるんだ」 山上先輩は掴んだまま、自分のデスクに置かれたファイルを開いた。 正面から見たら、なんてことのない風景だけど――後ろから見たらまるで、子供がお母さんのエプロンを掴んで、甘えているような感じかもしれないな。 直に触られてるわけじゃないけど、掴まれている重さがどこか、山上先輩の想いに比例している気がして、無理に外せなかった。 だから俺は暫

  • BL小説短編集   virgin suicide :欲望の夜5

    *** あれからどれくらい、時間が経ったのだろう? 部屋の時計を見渡すと、午前3時になっていた。 確かここに来たのが、午後10時半過ぎだと記憶しているので、その間仮眠室を独占したことになる。そこかしこに残る体の痛みは、全力で拒否った名残の筋肉痛らしい。 よいしょと掛け声をかけて、なんとか起き上がり、自分の身なりを確認する。 肌触りの良い桜色のワイシャツが着せられていて、ネクタイも緩く締められていた。まるでさっきの出来事が、なにもなかったかのように。「とにかく一度、家に戻ってから、シャワー浴びないと……」 痛む体を引きずりながら、よろけながら立ち上がった。不意に、虚脱感がじわりと襲う。「どうして……あの人に好かれなきゃ、ならないんだよ……」 俺のどこを好きになったんだ? わけがわからない――。「山上先輩と、仕事するの……イヤ、だな」 今日は当直明けなので、山上先輩と顔を合わせずに済むけど、その後はもう……どんな顔していいか、本当にわからない。「早く帰って綺麗に、しよう……」 残された痕や心のキズは、残念ながら消えないけれど――。*** 自宅で多少なりとも休んだおかげか、仮眠室で目覚めたときよりも、幾分マシになっていた。(昨日の、午前中にやった仕事は……) 警察署の玄関口をくぐり、今日やらなくてはならない書類を、ぼんやり思い出す。なにか考えてないと、不意に昨日の出来事が一気に思い出されて、どうにも落ち着かなくなる。 はあぁとため息をついた途端に、左肩を誰かに掴まれた。 びっくりして振り返るとそこには眼鏡をかけ、タイトに髪の毛をまとめている、いかにも真面目そうな男が立っていた。 じっと俺を見つめる眼鏡の奥の目が、なにかを探っているようで怖い……。「君は、耳が遠いのか?」 「へっ!?」 「先ほどから君を呼んでいた。水野くん」 ぼんやりしていたから、まったく聞こえなかったのかもしれない。「失礼しました。考え事をしていまして……」 「考え事ね……。まぁ一緒にいる山上が、苦労の種だろう」 眉間にシワを寄せ、目を細めて憐れみを示す見知らぬ男。この人、いったい何者!? 俺の不思議顔に気がつき、口元だけでほほ笑みかけてくる。目が笑っていないせいで、緊張をとくことができない。「ああ、紹介が遅れたね。自分は監察官の関と言

  • BL小説短編集   virgin suicide :欲望の夜4

    *** 「失礼します……」 当直の刑事たちが数名いる、捜査一課のフロアに入る。右手に差し入れのお菓子を手に持ち、足早に黙々と奥にある三係を目指した。「あれ? 水野、歓迎会もう終わったの?」 土井先輩が俺の顔を見て、驚いた顔をする。「はい。他の人はそのまま、二次会に行っちゃいました。俺明日は、通常勤務だったから」 「真面目だなぁ、水野は。俺のときは関係なく、思う存分に呑んだくれたぞ」 「あはは。あのこれ、差し入れです」 俺は土井さん用に買った、ビニール袋を差し出した。「ありがとさん。きっと坊っちゃんのついで、なのにな」 「そんなことないですよ。歓迎会、ご一緒できなくて残念だったし」 慌てて言うと、土井先輩はすべてお見通しな顔して、デスクに頬杖つく。その視線が、なんだか照れくさかった。「坊っちゃんなら、5分前に仮眠室に行ったぞ。今なら、まだ起きてると思う」 「ありがとうございます。行ってきます!」 踵を返して仮眠室に向かった。(まずは山上先輩になんて言って、話しかけたらいいだろう?) いろんな言葉をアレコレ考えながら、仮眠室の扉を静かにノックする。「――はい?」 ダルそうな山上先輩の声が、くぐもって聞こえてきた。その声で一気に、鼓動が加速する。「み、水野です。あの……差し入れ、持って来ました……」 「入れば」 扉を開けて恐るおそる中に入ったら、不機嫌120%の顔をした山上先輩が、ベッドに座って、こっちを凝視する。視線が、いつも以上に痛すぎる――。「……山上先輩、さっきは叩いてすみませんでしたっ!」 シュバッと音が出る勢いで、しっかり頭を下げた。情けないことに、手に持っているビニール袋が、恐怖でカサカサ鳴っている状態だったりする。「僕が悪かったんだろ? どうしておまえが謝るんだ?」 不機嫌な顔してるのに声色が至って普通なのが、更なる恐怖心を煽りまくり、頭が真っ白になっていった。 (もぅ怖い……マジで怖すぎるよ)「だからといってファイルで叩くのは、そのぅ、いき過ぎだと思いまして……」 頭を下げたまま、必死に喋るしかない。どうしたら許してもらえるだろうと、ない頭で必死に考える。 ギシッとベッドから降りる音が聞こえて、視界に山上先輩の靴が映った。不思議に思い、恐々と顔を上げたら、すぐ傍に端正な山上先輩の顔があっ

  • BL小説短編集   virgin suicide :欲望の夜3

    ***「水野、三係にようこそ! かんぱ~い!」 上田先輩の賑やかな音頭で、周りの人たちと楽しく乾杯した。 (む……なんだか、照れくさいな)「水野、おまえすげぇな。あの坊っちゃんを、バコンとぶっ飛ばすとは」 「ぶっ飛ばしてません……ファイルでちょっと叩いただけ、です……」 ビールを一口呑みつつ、そっと俯く。 山上先輩に向かって後輩の自分が生意気に、叱り飛ばすなんてことをしてしまった。今更、反省しても遅いのだけれど。「だけどさ坊っちゃん、よく反撃しなかったよなぁ」 「そうそう、しかも上田に謝ってたぞ。明日は槍が、ドサッと降ってくるかもしれない」 他の人たちは、口々に山上先輩のことを言う。あの人自身が問題児なので、しょうがないのだけれど。しかしきっかけを作ったのが俺なので、正直すごく胸が痛い。「あれ? 水野、お代わりは?」 「えっと、烏龍茶ください。俺あまり、お酒に強くなくて」 明日も朝から仕事なので。と付け加え、渡された烏龍茶を飲んだ。 山上先輩以外の人たちは、気さくで本当にいい人ばかりだった。仕事中もたまにフォローしてくれたり、自分には勿体ないくらい、いい人たちなんだけど……。(どこか物足りなく感じちゃうのは、山上先輩に毒されちゃったせいかな?) 周りの話を聞きながら、ぼんやりと考える。帰り道コンビニに寄って、山上先輩が好きなお菓子を買い込んで、職場に行こう。 謝らなければならないのは、手を出してしまった自分なのだから。

  • BL小説短編集   virgin suicide :欲望の夜2

    *** ここのところ大きな事件もなく、平和な日常が一週間経ったある日。「水野、今日も残業?」 斜め向かいにいる上田先輩に、優しく声をかけられた。「ん~、とりあえず今やってるのをきちんと終わらせたら、定時で帰ろうかなぁと思ってます」 「それは丁度良かった。おまえの歓迎会しようって、他の奴らと話してたんだよ」 「ホントですか?」 山上先輩の書類と格闘すること、一週間。実はわからないことがあって、山上先輩不在時に、こっそりと他の人に聞いて、対処していた。その関係もあり、いつの間にか仲良くさせていただいてる、ちゃっかり者の俺。「新人が僕を差し置いて呑みに行くなんて、マジで十年早い……」 隣で、山上先輩がボソリと呟く。 実際、この人の傍にいるだけで疲労困憊なので、楽しい宴会の席に本人がいないのは、正直とてもありがたい!「坊っちゃん、しょうがないじゃないですか。今夜は当直なんですから。またの機会に、行きましょう?」 上田先輩が宥めるように言う。 しかしこのまま行ったら、明日はどんな仕返しが待っているのやら。意地悪なこと人のことだ、間違いなく倍になって返ってくるだろう。それだけは避けたいかも……。 歓迎会と倍返しの仕事を両天秤にかけた結果、簡単に答えが導き出される。ここは山上先輩の顔を、後輩として立てた方がいい。 そう考えて立ち上がり、上田先輩に向かって、「やっぱり、俺――」 そう口ごもると上田先輩が慌てて俺の両肩を掴んで、強引に出口に向かって押し出そうとした。あまりの急展開に、足が前に進まない。(なんなんだよ、これは!?)「そいつに……勝手に触るなっ!」 俺の耳元で、バシッと叩く音がした。上田先輩に掴まれてた手が呆気なく解放され、体が急に軽くなる。背後にいる上田先輩がビックリした顔のまま、山上先輩を見ていた。 俺自身も、なにが起こったのかわからない。早い展開に頭がついていかなくて、その場に佇むしかできなかった。「おいおい。自分が行けないからって、こんなふうに叩くことはないだろうよ?」 「そんなんじゃない。僕は……」 上田先輩の強行手段もおかしいが、山上先輩の行動もおかしい――おかしいけど。 俺は自分のデスクに向かって、分厚いファイルを両手でむんずと掴み、傍にいる山上先輩の頭に目掛けて、迷うことなく勢いよく振り下

  • BL小説短編集   virgin suicide :欲望の夜

    *** ――仕事がしにくい。「…………」 山上先輩は暇なんだろうか? なぜかずっと、こっちを見ているし。「…………」 俺の顔をずっと見ていて、飽きてこないんだろうか?「…………」「山上先輩あの、気が散るんですけど……」 なんのチェックをしてるんだか知らないけど、本当に気になってしょうがない。 どこか、刺すような視線――山上先輩のグサグサッと体を突き刺す視線を、毎日浴びていた。そんな感じでずっと見られる状態で仕事をするのは、非常につらい。「水野が書類の書き間違えをしないように、無言のプレッシャーをかけていただけだから」(――なんだよそれ、ただの嫌がらせじゃないか)「それはどうも、ありがとうございます!」 使っているボールペンが、ミシミシ軋むような音をたてた。山上先輩の視線ってば、あからさまな嫌がらせじゃないか。「これくらいのプレッシャーに負けていたら、いざというときに役に立たないからさ」 「はぁ、肝に銘じておきますね」 にっこり笑う山上先輩に、額にコッソリ青筋立てながら、俺も必死に笑って答えた。傍から見たら、とても仲のいい関係に見えるだろう。面倒見のいい先輩が、後輩をかわいがってる、そんな感じ。「なのに実際は真逆とか、巧妙過ぎるだろ、まったく!」 そしてこの人と喋ってるだけで、本当に倍の神経を遣う。もう気を遣うレベルを、とうに超えているよ。 呆れ顔をしたまま山上先輩から注がれる視線をスルーして、黙々と書類をこなすことに専念した。 当の本人は携帯を弄ったり、フラフラ出掛けたり(煙草を吸ってるらしい)俺を監視したりと、毎日過ごしていた。

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status