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ふたりきりのクリスマスナイト

Author: 相沢蒼依
last update publish date: 2026-03-14 09:45:52

※これは一緒に暮らして、初めて迎えたクリスマスのお話になります。

「うへぇ、うんざりするくらいに疲れた。だけど家に帰ったら大好きな陽さんがいるんだって考えるだけで、そんな疲れが吹き飛んじゃうんだから不思議」

 デコトラのハンドルを握りしめながら、自然とクリスマスソングを歌ってしまう宮本。その歌が上手なのか下手なのかは、皆様の想像におまかせします。

 マンション近くの駐車場にトラックを停めて、助手席に置いてあった荷物を手に、急ぎ足で帰宅する。

 甘いものが苦手な橋本を考えて、イチゴのショートケーキ1個とクリスマスプレゼントを持ってる宮本は、まんまサンタの気分だった。

「ただいま~! ってあれ?」

 玄関には、橋本の靴が揃えて置いてあった。なので在宅しているのは間違いないのに、リビングにその姿がない。

 宮本は手に持っていた荷物を一旦テーブルに置き、トイレやバスルームを探して歩いた。

「いない。どうしてだ?」

 首を捻りながら寝室の扉を開けると、ベッドヘッドの小さなライトがつけっぱなしだった。そんな状態で普段は寝ていないので、ついていること自体が謎に満ちあふれ、宮本の眉間に深い皺を作った
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     宮本が消えた途端にキツい口調で言われたことは、橋本の胸に突き刺さるように響いた。「雅輝の才能……。アイツの走りについては、本人にまかせていることですので、俺がひとりじめしているつもりはないですけど」 ありきたりの言葉をやっと告げるのが、橋本としては精一杯だった。「橋本さんが雅輝さんに走れと言えば、彼はきっと走ってくれるハズなんです。頼んでみてもらえないでしょうか?」「それは――」 恋人の頼みなら、どんなことでも叶えそうな宮本の性格を見切った佐々木のセリフは、橋本の口を重たいものにした。「だってもったいないでしょ! あれだけ速く走れる才能を持っているのに、隠してしまうんですから。代われるものなら、雅輝さんになりたいくらいです」「……誰だって、アイツにはなれません。雅輝の才能は確かにすごいものですが、恋人の俺が強制してやらせるものじゃない!」 佐々木の言葉の熱意に当てられたせいで、橋本も思わず声を荒らげてしまった。周りが静かすぎるせいで、橋本の声は遠くまで響き渡った。「雅輝は……アイツは自分の車を持っていません。走り屋からすでに足を洗ってるんです。理由は聞いてません。アイツが話してくれるまで、俺はいつまでも待つつもりでいるので」 橋本は自分を落ち着かせようと、徐々に声をいつもどおりに戻しつつ、頭の中で宮本の笑顔を思い出した。どこか照れた表情で橋本を見つめて嬉しそうに微笑む宮本の笑顔は、橋本の精神安定剤になっていた。「話したくないワケがあるということなんですね?」「たぶん。走るキッカケが失恋から立ち直るためだったし、そこから走り屋を辞めるとなると、やっぱり深い事情があると思う」 三笠山で見た、羨望のまなざしで宮本を見つめる大勢のギャラリーを思い出した。自分の車で峠を走っていないのにもかかわらず、走り屋のチームやギャラリーから神格化されている宮本の姿は、橋本の目には奇異に映った。 その理由は普段見ている、のほほんとした宮本が崇め奉られてる存在として扱われていることに、違和感があったせいだと思い至ったのだが。(自分のことをモブキャラレベルと称している宮本にとって、神格化されるのは恥ずかしいことに繋がるから嫌がっている……。なんていうくらいの感情なら、俺に話をしてくれるだろうし) 橋本が顎に手を当てて考え込んでいると、背後からエンジンの音が聞

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    last updateLast Updated : 2026-04-05
  • BL小説短編集   例のアレ14

    殴られた部分を両手で押さえながら、呻き声をあげる宮本を目の当たりにして、橋本は大きなため息をついた。「陽さんひどいよ。今ので俺のヤル気が、全部吹き飛んだ!」「軽くグーパンしただけだろ。それに空気を読めない、雅輝が悪い」「陽さんのパンチは表面が痛いんじゃなくて、殴られたあとに中側に衝撃波がくるんだってば。軽いものでも、俺の目玉が飛び出ると思ったんだから」「今の言葉で、俺のヤル気が1.5倍増えた」 ぼやく宮本の背中を、橋本は苦笑いしながら宥めるように擦った。「何でヤル気が漲るんですか。俺は克明に文句を言ったというのに」 相当痛かったのか、こめかみを擦る宮本は面白くないことを示すべ

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