로그인「恭介なんだよ、その態度。俺は間違ったことしてないぞ」「そうなんですけど年上の恋人として、もっと宮本さんを守ってあげるような言葉が、橋本さんにはなかったのかなぁって」「俺が守る以前に、雅輝が恋人らしく堂々と対処してくれたから、俺の出番はなかったというわけ」「いやそこは橋本さんが、ビシッと言ってやるところだと思いますよ」 やり取りしてる最中に、信号が青に変わった。額に手を当てて、うんうん唸る榊をルームミラーで確認後、アクセルをゆっくり踏み込む。「俺さ、嬉しかったんだ。何かあっても、今まではオロオロしていたアイツが、「陽さんとは兄弟以上の関係ですので、お引き取りください」なんて、きっぱり断ってくれたのが、すげぇ進歩だなぁって」「兄弟?」「ソムリエ野郎が言ったんだ、ご兄弟かと思ったんだと。全然似てねぇのにな」 通い慣れた道すがら、昨日の出来事をアレコレ語る橋本に、車窓を横目で見ながら榊は穏やかな笑みを浮かべた。「あのさ、恭介……」「はい?」「おまえがつけてる結婚指輪って、ふたりで選んだものなのか?」 ふたたび話題が指輪のこととなり、榊は目を見開きながら前を見据えた。「実はサプライズで、和臣が用意したものなんです。もしかして橋本さん、指輪の購入を考えているんですか?」「なんつーか、自然な流れで買うことが決まってさ。近いうちに雅輝と見に行く約束をしたんだが、宝飾品関係はとんと疎くてな」「橋本さんが宮本さんと結婚。お似合いのカップルだなぁと思っていたのが、ついこの間なのに、ずいぶんと早い展開ですね」 意味深に瞳を細めた榊の視線が、ルームミラーからビシバシ刺さってきたが、華麗にスルーしながら返事をする。「早くしないと若い雅輝が、誰かに目移りするかもしれないだろ。とっとと、首輪をつけておこうと思ってさ」「宮本さんが目移りするわけないですって。あんなに橋本さんにぞっこんなのに!」「あんなにって、なんだよ……」 軽快な会話に比例して、赤信号に当たることなく、ハイヤーは順調に進んだ。右ウインカーを点灯して右折したら、目と鼻の先に榊が勤める証券会社が見える。 残り時間が僅かだからこそ、榊がたたみかけるような早口で言った。「ちなみに俺は、そこまで宝飾品には詳しくないのですが、橋本さんがプレゼントされたそれは、とってもセンスのいいものだというのがわ
*** 次の日、榊を迎えにいつものマンション前にハイヤーを停めて、わざわざ車の外で待った。昨日の礼を、直接言うために――。「橋本さん、おはようございます!」「おはよ。昨日はありがとな」 微笑みながら駆け寄ってきた榊に、橋本は右手をあげて挨拶しつつ、お礼の言葉をしっかり告げた。「もしかしてクリスマスプレゼントは、そのネクタイピンだったんですか?」 目ざとく気づいた榊の視線に、ちょっとだけ照れてしまう。「まぁな……。雅輝がこれを渡すタイミングを、なかなか掴めなかったところに気づいてもらえて、すげぇ助かったって言ってた」「その石の色、橋本さんの愛車の青色と同じなんですね。宮本さんって、いいセンスしてる」 ニヤニヤして自分をおちょくる榊から逃げるように、さっさと運転席に腰を下ろした。「その言葉、アイツに伝えておくな」 橋本を追いかけるように後部座席に乗り込んだ榊に言うと、「ついでにお幸せにという言葉も、付け加えてください」なんて、わざわざオマケまでつける始末。「了解! きちんと伝えるよ」 言いながらシートベルトをしっかり締めて、ギアをドライブにいれる。ウインカーを点灯後、車がいないかしっかり確認してから、アクセルを柔らかく踏み込み出発した。「橋本さんってば、てっきり指輪を貰ってると思いました」「俺もな―、あのビロードのケースを見た時点でそう思ったんだが、その前にちょっとした事件があってさ」「事件?」「ソムリエ野郎が、雅輝をナンパしてきた」「それって、大事件じゃないですか!!」 ちょうど信号が赤になる手前で、榊が大声をあげたので、橋本は驚きながらブレーキを踏んだ。いつものような振動を感じさせないブレーキングができず、上半身が前のめりになるものだった。「橋本さん、よく喧嘩になりませんでしたね。俺ならブチ切れしてますよ」「ブレーキ、驚かせて済まない。喧嘩になる前に呆れちまってさ」 後ろを振り返りながら告げると、気難しい顔をした榊が首を傾げながら、橋本の視線を受けつつ口を開く。「恋人が目の前でナンパされてるっていうのに、呆れる意味がさっぱりわかりません」「だってよソイツ、雅輝のヤツがネコだと思って、誘いをかけたんだぞ」「あ~……、宮本さんのあの雰囲気だと、そうとられても仕方ないと思いますけど。でもそこはきちんと、牽制したんですよね
感じるように自身に触れる行為と、耳を愛撫する宮本に、橋本はなすすべがなかった。躰を震わせながら、抵抗の言葉を発する。「まっ、雅輝っ…そんなに、するなって」「したいよ、もっと感じさせたい。乱れまくる陽さんを見せて」「乱れまくってるとこ、ンンッ、あぁっ恥ずかしぃっ」 なんとか逃げようとした瞬間に、仰向けにされた。すかさず跨った宮本は、橋本の両肩をベッドに押しつける。「恥ずかしがることなんてない。俺だけしか見てないんだし」「だけど……」「これから先も、俺だけしか見ないんだよ。それとも陽さんってば俺に飽きちゃって、他の人とこういうことをしたいわけ?」「それはない」 断言した橋本を見降ろす宮本は、無言のまま左手を優しく掴んで、じっと眺める。大切なものを扱うような所作に、胸がどくんと疼いた。「雅輝?」「ここにお揃いの指輪をつけて、ずっと一緒にいるんだなって考えたら、すごく幸せを感じちゃって」「指輪をつける以前に俺の心は、おまえに縛りつけられてるけどな」 宮本は掴んでいる左手から、橋本の顔に視線を移した。注がれる視線から真実を見極めようとしているのを感じて、口にせずにはいられない。「雅輝、おまえ以外欲しくない。俺と結婚するのはおまえだけだ」「あ~っ、俺が言おうとしたセリフを、陽さんに言われた!!」「今くらい、年上の俺に花を持たせろよ。いいだろ?」 瞳を細めてにっこり微笑んだ橋本に引き寄せられるように、宮本は顔を寄せた。「その代わり、エッチなことをするときは、俺が優位に立たせてもらいますよ?」「いっつも優位に立ってるだろ。俺が嫌がってるのを知りながら、いろんなことをしやがって」「俺としては、嫌がることをしてるつもりはありません。だって愛してるから」 クスクス笑いながら、熱い口づけを交わしたふたり。このあと、一緒に指輪を買いに行く約束をしたのだった。
宮本と視線が絡まった瞬間、さらに頬の熱を感じて、思わず顔を俯かせる。「いつもの男前の陽さんもいいけど、照れてる陽さんも大好きです」「……てっきり、可愛いって言うのかと思った」 上目遣いで宮本を見つめると、目の前にある唇がにゅっと尖がった。明らかに宮本の機嫌が悪くなったことについて、ヤバいと思ったもののすでに遅し。「俺が可愛いを言わずに、自分の気持ちを告げたことを、陽さんに褒めてほしかったのに」 不機嫌にさせるつもりがなかったため、橋本は変な焦りを感じてしまった。額に、変な汗がじわりと滲んでくるのを感じる。俯いているため、それが流れ落ちてくるんじゃないかと、無駄な心配をした。「だってこんなふうに、好き好き言われ慣れてないから、困ってるっていうか」「だったら――」 宮本は言いながら、俯いた橋本の顔に両手を添える。鼻先まで顔を寄せて、にっこり微笑んだ。「陽さんも好きって言えばいいだけですよ、言ってください」「えっ、す、す…す、好きぃ?」 ひっくり返ってしまった橋本の声。そんな言葉を聞いているのに、宮本は目尻を下げて、あからさまに喜ぶ。「陽さん、もっと言ってください『雅輝が好きだ』って」「さっき言ったろ……」「言われ慣れる前に、陽さんが言い慣れてください。そしたらきっと俺が言っても、そこまで照れたりしないと思いますよ」 説得力がありそうで実際はどうなのかわからないものの、言わないと先に進まないことが容易に想像ついたので、意を決して口にしてみる。「……雅輝が好き」「俺も陽さんが大好きです!」「俺のほうが雅輝が好きだ」 告白することに神経を集中していたため、思いっきり無防備になっていた。宮本はそのタイミングを計ったかのように、ふたたび橋本自身に触れる。「んっ、ああっ!」「まだまだ足りない。もっと言ってください」 橋本の耳元で告げるなり、かぷっと耳朶を甘噛みする。唇を使って柔らかく噛む行為に、次第に息があがっていった。「そ、そんなこ、と、された、んじゃ、言えねぇ、って」
「なんですか、それ」「なんですかって、そんなことばかり言ったら、ウザすぎると思われても嫌だし、さ」 どうにも堪らなくなって、視線を彷徨うように動かすと、はーっという大きなため息をつかれてしまった。「俺が陽さんのこと、可愛いって言うじゃないですか」「ああ……」 しょっちゅう言われてるので、なんだかなぁと思っていた。「本当は好きって言いたいんです」「ぶっ!」「でも好き好き言いすぎて嫌われたら困るなぁと思って、可愛いに変換してました」 宮本は瞳をくちゃっと細めるなり、縮まっていた距離を埋めるように、橋本の躰に抱きつく。じわりと伝わってくる体温に、橋本は心の底からほっとした。「陽さん、大好きです!」「わかってるって。おまえの気持ちは、ケツに当たるブツと同じだって、言いたいんだろ?」 なんのタイミングで大きくなったのかわからない、宮本自身に困惑しながら、息つぎもままならない状態で告げるしかなく――。「陽さんだって、ほら……。俺と同じになってるじゃないですか」 あっと思ったときには、隠す間もなく触れられてしまった。「陽さんの、しゃぶって可愛がってもいい?」「だっ、ダメだ。おまえのフェラで、すぐにイっちゃうかもしれないから」「我慢せずに、イけばいいのに」 言いながら相変わらずお触りを続ける宮本の両手を掴み、なんとか動きを封じることに成功した。「雅輝と……、一緒にイきたい」「陽さん?」 掴んでいる自身の手に力が入り、宮本の手ごとカタチが変わってしまったモノに触れているため、いやおうなしに快感が駆け巡ってしまう。「大好きなおまえと一緒に感じて、愛されながら一緒にイきたいんだっ」 告げたことや躰の事情が恥ずかしすぎて、顔から火が出そうだった橋本。真後ろで宮本が嬉しそうに、くすくす笑う。「んもぅ、陽さんってば卑猥!」「ど、どこがだよ?」「だって陽さんの中を、俺のが出たり挿いったりして、散々感じさせるってことでしょ?」「うっ。ま、まあな」「卑猥だけど、一緒に感じられるのってやっぱり、愛し合ってるなぁって思えるよね。陽さん、こっちを向いて」 宮本の両手を拘束していた自分の手の力を抜き、モゾモゾしながら寝がりして対面する。
「おまえさ……」「はい?」「いや、いい」「言いかけてやめないでくださいよ、気になります!」 瞬時に今後の展開を悟り、言葉を飲み込んだというのに、宮本は橋本の耳元で騒ぎたてた。「陽さん、そうやってわざと意地悪して、俺の気を惹こうとしてますよね?」 橋本を見つめる宮本の視線は、言わないと何かするぞという、脅しのようなものを感じさせる。「別に意地悪じゃねぇよ」「だって好きな人の言葉は、どんなものでも気になるのに。俺が同じことをしたら、知りたくて堪らないでしょう?」「どうだろうな」 言いながら視線を逸らして宮本から逃げると、わざわざ耳元に顔を寄せてきた。「もういいです。意地悪な陽さんなんて知らない!」 宮本は大声で叫ぶなり、握りしめていた橋本の手を放り投げ、ぷいっと背中を向ける。 そこまで怒ってる感じは伝わってこなかったものの、直前までイチャイチャしていたので、余計に寂しくなった。「雅輝……」 逸らしていた視線をもとに戻すと、大きな背中が目に留まる。その肌には自分がつけたらしい、爪痕がくっきり残っていた。散々感じさせらて、しがみつくように宮本に抱きついた記憶がある。「…………」 宮本を傷つけないようにすべく、きちんと爪を短く切ったはずなのに、残ってしまったひっかき傷は、橋本の中にある黒い部分を引き出すものになった。「今の愚痴、江藤ちんに報告するんだろ?」 恋人を傷つけたくないのに、言いたくないことをわざわざ告げてしまう、自分の不器用さに、イライラが増していく。「どうでしょうね」 橋本の言葉を真似したのか、同じ対応をされてしまった。「あのさ、俺……」「――なんですか?」「ふざけていないと、つい口走りそうになってさ」 渋々橋本が話しかけたら、ちょっとだけ顔を向けた宮本。見つめられるその視線に耐えられなくて、まぶたを伏せながら言の葉を紡ぐ。「雅輝が好きだって言いそうになるんだ。その……変なタイミングで気持ちが込み上げるってゆーか、脈略もなく言いたくなるときがあって、すげぇ困ってる」 橋本は一気に言い終えたあとに、ぶわっと頬が熱くなるのを感じた。
(最近、雅輝の服のセンスがだいぶ良くなったと思ったが、やっぱり手をかけなきゃダメか――)「あのさ雅輝、今は俺の姿をしてるんだぞ。それを分かってて、その服を選んだのか?」 お泊り用に置いてあった宮本の服を着終えた橋本が、苦笑いしながら橋本のなりをしている宮本に声をかけた。「はい。いつも陽さんの服装はシックな感じだったから、俺なりに遊び心をちょっとだけ加えてみたんですけど」「そうか……。遊び心をプラスしたことにより、ダメンズさが加算されていると思う」 秋葉原界隈でよく見かけるリュックサックを背負っていたり、ウエストポーチをつけているような方々の服装を感じさせるそれを目の当たりにして、額
(陽さんさすがだなぁ。微妙な違和感からインプの異変を感じとれるところを、ぜひとも見習わなくちゃ!)『この間の、潮吹きさせたこともそうだ。俺を感じさせたい気持ちは分からなくもないが、ほどほどにしてくれないと壊れるぞ』「はーい、ごめんなさいです」『最近の雅輝は、手加減をしなさすぎる。この躰と変わってほしいくらいだ』 そんな橋本の望みを聞いた神様か仏様が、宮本と入れ替わりさせた――。のか?「オーマイガー! 南無阿弥陀仏! ごめんなさい、本当にごめんなさいっ! これからは陽さんを大事にしながら、大切に取り扱いいたします、多分……。いや絶対に! だから、もとに戻してくださいましぃ」 持って
「陽さん、俺の顔が陽さんになってない?」「寝ぼけてるのかよ、雅輝は雅輝だって」「良かった~。もとに戻ったんだ」 触れられている橋本の手をぎゅっと握りしめながら、思う存分歓喜した。 喜び勇んだ宮本に呆れながら説明を求めた橋本に、夢の中の出来事をぽつりぽつりと話して聞かせる。「俺になった気分は、そんなに最悪だったのかよ?」 喋っているうちに落ち着いた宮本を、布団に入り直した橋本が腕枕をして抱きしめた。密着する素肌から伝わってくる熱が、とても心地よく感じた。「最初は喜んだよ。『わーい、陽さんになっちゃった』っていう調子で小躍りしたあとに、隣で寝てる自分の姿を見て、思いっきりショックだ
*** 目が覚めて隣を見たら、自分が横たわっていた。口を開けて涎を垂らしながら寝ているアホ面を目の当たりにして、微妙な心境になる。(雅輝だと、こんな寝方をしていても可愛いなで済むのに、自分だと冷めた目でしか見られない……) これは夢の中の出来事――そのことに含み笑いをしつつゆっくり起き上がってから、うーんと伸びをしてみる。 いつも感じる、年齢による躰の重ダルさがまったくなく、むしろ爽快感しかなかった。 宮本としては中折れ後にうまいこと復活し、半日イチャイチャして過ごしたお蔭もあるだろう。夢の中だけどメンタルと躰がばっちりな状態なのを、橋本はしみじみ体感した。意味なく右腕を曲げて、力