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24.私のせいで

last update publish date: 2026-07-27 19:46:00

あれは、近所の夏祭りの日だった。

同じ地区の人達が神社に集まって、お祭りを楽しんでいた。

「お父さーん、俺かき氷食べたーい!」

「あさひ、アイス食べたい。」

「おう、ちょっと待ってな。」

しばらくして、父がかき氷とアイスを私達の元へ持ってきた。

「ありがとう!」

「ありがとう。」

買ってもらったものを食べていた時、はるひがあるものを指さす。

「お父さん、あれ、なあに?」

「ああ、あれはお面だな。欲しいか?」

「欲しい!」

私達はお面屋さんへ向かった。

「俺、あの白いのがいい!」

「狐のお面か。分かった。あさひはこの中に欲しいものあるか?」

「えっと…猫さんのお面がいい。」

「よし、じゃあ、父さん買ってくるから、ちょっと待ってなさい。」

「よっしゃー!」

「やった!」

1分もしないうちに、父が買ったお面を持ってきた。

「はい、どうぞ。」

「わあーっ!ありがとうお父さん!」

「猫さん可愛い!ありがとうお父さん!」

私たちは買ってもらったお面をすぐ身に着けた。

近所の友達と追いかけっこして遊んでいた時、遠くから上の兄達が歩いてくる姿が見えた。

「あっ!にぃに達だ!」

私は兄達の所へ向かおうと走り出した。

はるひも後から続いた。

「待って!あさひー!」

2人で並んで走ると、向こうにいた兄達も気付いてこっちに手を振る。

が、すぐに顔色が変わって叫んだ。

「お前ら左に避けろ!」

「危ない!左に行け、左!」

何事かと思って後ろを振り返ろうとした時…

ブォーンッ バンッ!

車が何かを跳ねた音がした。

右を見ると、そこにいたはずのはるひがいない。

車が跳ねたのは、はるひだった。

10メートルくらい先に、はるひは頭から血を流して倒れていた。

「はるひっ!!!」

はるひの元へ駆け寄り、名前を呼び続けた。

「はるひ!はるひっ!起きてっ!はるひっ!!」

はるひが目を開けない。

「はるひ!!おい、あさひ、大丈夫か!?」

「おいおいおい嘘だろ!?」

「にぃにっ、はるひを助けて!はるひが目開けないの!!」

「そら!救急車!」

「今かけてる!」

音に気づいた人達が走ってやってくる。

「なんだ、事故か!?」

「子供が倒れてるぞ!」

その中に、両親もいた。

「はるひ!!!何でこんなことになったんだ!!!」

「そんな、嘘よ!…あさひ、怪我は!?」

そこから先の記憶は曖昧だ。

覚えているのは、はるひが病院に運ばれた後の事だ。

「先生、はるひはっ…」

「…手は尽くしましたが…」

「…ああ…あああああっ!!!」

泣き叫ぶ母。

膝から崩れ落ちて涙を流す父。

手術室の前で立ち尽くすだいち兄ちゃん。

呆然とする私を強く抱きしめるそら兄ちゃん。

悲しみがその空間を埋め尽くした。

はるひを跳ねた運転手は、酒を飲んでいたという。

少しくらいなら大丈夫だろうとたかを括り、酔ったまま車に乗って、車2台がギリギリ通れるあの狭い道を、時速60キロで走っていたそうだった。

医師によると、はるひはほぼ即死だったという。

はるひと共に、私達は家に帰ってきた。

眠っているように見えるが、その肌は酷く青白かった。

「はるひ、起きて。ずっとねんねしてたら、お母さんに怒られちゃう。」

私はまだ、はるひの死を受け入れられていなかった。

はるひは寝ているだけだ。

そう思って無言のはるひに話しかけ続けた。

「はるひ、起きなきゃだめだよ。はるひ…起きてよ…」

ボロボロ泣きながらはるひに話しかける私を、母が優しく抱きしめた。

「あさひ…はるひはね、今はもうねんねしないといけないの。」

「…なんで…?なんではるひねんねしないとダメなの…?」

「はるひは、神様とながーい冒険に行かなくちゃならなくなったの。」

「じゃあ、神様に、あさひも連れてってくださいって、お願いする…」

「ううん、あさひはまだ行けないの。多分、あさひがおばあちゃんになった時、神様が冒険に連れてってくれるわ。」

「やだ…はるひがいないと、やだ…はるひと一緒がいいっ…」

「…っ、寂しいよね。ごめんね。でも、神様が決めたことだから、神さまの言うとおりにしようね。」

「ふえ…うわああああん…」

あの時、私が走り出さなければ、はるひは死なずに済んだのに。

あの時、私が車道側にいれば、はるひは生きていたかもしれないのに。

全部、私のせいだ。

今でも、そう思っている。

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