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【R18】拾ったワンコは獣人でした。~イケメン獣人に求愛されて困っています。~
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Author: 風雅ありす

1. 犬を拾った夜

last update Petsa ng paglalathala: 2026-09-05 07:59:15

 春先のまだ肌寒い、雨が降る夜のことだった。

 その日、仕事で帰りが遅くなった私は、暗い夜道を一人、傘を差しながら歩いていた。

 ここ最近、残業が続き、疲れていたのだと思う。

 ぼうっとした頭で、足元もよく見ずに歩いていたら、何かにつまづいて転んでしまった。

「ふぎゃっ」

 両手が塞がっていたせいで、そのまま顔面から地面にダイブする。

 べちゃ。

(ああ……オニューのコートが……)

 痛みよりもまず先にそれが気になった。

 というのも、思っていたより痛みを感じなかったからだ。

 お腹の当たりに柔らかなものが当たっている。

 何かと思い、身体を起こして見てみると、それは、一匹の大きな黒い犬だった。

「ひゃあっ……!」

 驚いて、変な声を上げてしまう。

 ぴくりともせず横たわっているので、死んでいるのかと思ったからだ。

「くぅ~ん…………」

 犬が苦しそうに鼻を鳴らした。

 どうやらまだ生きているようだ。

(どうしよう。私が踏んづけちゃったのかしら……)

 つまづいた感覚はあったが、踏んづけた感触はなかった筈だ。

 おそらく、私がここを通る前から倒れていたのだろう。

 犬の身体は、全身雨で濡れていたが、どこも出血しているような様子はない。

 と言っても、毛が長いので、明るいところでよく見てみないと、分からないかもしれないが、衰弱しているように見えた。

(飼い主は……)

 と、反射的に辺りを見回してみたが、この辺りは、木造のアパートが多く、こんなに大きな犬を飼えるような戸建ては見当たらない。

 犬の毛を掻き分けて、首の辺りを探ってみたが、首輪も付けていない。

 まさか野良ではないだろう。

(どうしよう……こんな時間に動物病院はやってないだろうし……)

 そもそも、動物を飼っていないので、どこに動物病院があるのかも、調べてみなければ分からない。

 でも、このままに放っておけば、確実にこの犬は死んでしまうだろう。

 子供の頃に飼っていた犬のことが頭に浮かんだ。

 私は、持っていた傘を畳むと、倒れていた犬を両腕で抱えて、

 そのまま自分の家へと連れて帰った。

   ♡  ♡  ♡

 私は、住んでいるアパートへ犬を連れて帰った。

 一人暮らしなので、誰に気を遣うこともない。

(誰も見てないわよね……)

 きょろきょろと辺りを伺う。

 確か、このアパートは、ペット禁止だった筈だ。

 私は、周りに誰もいなことを確認しながら、なるべく物音を立てないよう注意して、部屋へと入った。

「う~……寒いっ。あんたも私も、びしょ濡れね。

 まずは、お風呂かな」

 私は、犬を抱えたままお風呂へ入った。

 なるべく負担をかけないよう、ぬるま湯で身体についた汚れを落としてやる。

 すると、犬は驚いたのか、急に立ち上がって全身を震わせた。

 私の顔にまで水が飛び散る。

「きゃあっ! ちょ、ちょっと大丈夫よ。

 身体を綺麗にしてあげるだけだって」

 私が優しく声を掛けてやっても、犬は、うろうろと風呂場を歩き回り、落ち着かない。

 お風呂の扉を前足でがりがりと叩いているところを見ると、

 どうやらお風呂は嫌いらしい。

「もう~……それだけ動けるなら、大丈夫そうね」

 私は、犬が大きな怪我をしてなさそうなので安心した。

 ついでに、私も汚れた服を脱いで、手早く身体を洗う。

 コートは、あとでクリーニングに出そう。

「くぅ~ん……」

 突然、犬が困ったように鳴き声を上げた。

 見ると、壁の方へ顔を向けて伏せっている。

「どうしたの? やっぱりどこか悪いのかしら」

 私は慌てて、自分の身体についた泡をシャワーで落とすと、

 外からタオルを持って来て、犬の身体を拭いてやった。

「ほぁら、綺麗になったわよ」

 私の言葉に答えるように、犬が私の手を舐めた。

 まるで〝ありがとう〟と言っているみたい。

「ふふ、どういたしまして」

 私も身体を拭いて、一緒にお風呂を出た。

 ちょうど部屋の暖房が効いて、暖かくなっている。

 私は、パジャマに着替えると、ドライヤーで犬の毛を乾かしてやった。

 今度は嫌がらず、気持ちよさそうに目を閉じて大人しくしている。

「ハピを思い出すなぁ……よくこうやって、お風呂に入れてあげてたっけ」

 子供の頃に飼っていた犬を思い出して言った。

 ハピもお風呂は苦手で、ドライヤーをかけようとしても部屋中を逃げ回っていた。

 それを私が追い掛けていた時のことを思い出し、自然と笑みが零れる。

「あなたは、お利口さんね。えらい、えらい」

 犬は、褒められたことが嬉しかったのか、得意げに鼻を鳴らした。

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