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STORY 62

Author: mako
last update publish date: 2026-03-04 10:16:55

「沙織が……神田グループの令嬢……?」

芳也、美咲さん、そして芳也の母親——三人の顔から血の気が引いていく。

現実を受け入れられないのか、虚ろな目で立ち尽くし、やがて廃人のようにその場へと崩れ落ちた。

「そんな、そんなはずない……!」

美咲さんが呆然と呟くが、もはや誰も耳を貸す者はいない。

その時——

「俺は神田社長の命令で、彼女を保護したに過ぎない」

陸翔兄さまの低く響く声が、会場の静寂を切り裂いた。

「それを不倫だなどと騒ぎ立て、彼女を侮辱したこと——許されると思うな!!」

鋭い怒声が響き渡る。

誰もが息を呑み、誰一人としてその言葉を否定できる者はいなかった。

「……連れていけ」

静かに告げられた陸翔兄さまの言葉とともに、会場に控えていた警備が動き出す。

青ざめた三人は、もはや抵抗する力もなく、そのまま引きずられるように会場を後にした。

そして——

「皆様、お騒がせして申し訳ありません」

壇上に戻った父が、会場全体へと向けて穏やかに言葉を投げかける。

「余興はこれまでにして——さあ、パーティーをお楽しみください」

父の堂々たる宣言とともに、会場には再び穏やかなざわめきが戻った。

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