Share

85

Author: 美桜
last update publish date: 2026-04-16 11:16:43

「行こう」

准が理那人の方を見てそう言うと、彼も呆れたように2度頷き、有紗を促した。

「おいー!」

4人が自分に背を向けたのを見て、男は当然顔を怒らせて怒鳴りつけた。

「お前、何様だ!?偉そうにしやがってー」

そうして指を突きつけようとしたところ、サッと本田がその身体で彼らを遮った。

「申し訳ありません」

「なんだ、お前!?」

大勢の参加者の前で恥をかかされたと思った男が、本田の身体をドンッと押した。

だが彼はびくともせず、相変わらず男の前に立ち塞がっていた。

「そこをどけ!」

「無礼な振る舞いはやめてください」

「無礼だと!?」

「……」

本田はその大きな体躯を利用して、男にズイッと迫った。

「な…っ」

「社長は、あなたのお友達ではありません」

「っ…」

顔を寄せ、低い声で威圧するように囁くと、男は一瞬言葉を失い、目を泳がせた。

その顔には、目論見の外れた焦りが浮かんでいた。

男は、自分が准よりも年上であるというその一点を利用して強引に親しい態度をとることで、彼に自分を蔑ろにしないようにさせようとした。

准も世間体などを気にするならば、親しげにする年上に対して突き放すような態度は取
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter

Latest chapter

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   85

    「行こう」准が理那人の方を見てそう言うと、彼も呆れたように2度頷き、有紗を促した。「おいー!」4人が自分に背を向けたのを見て、男は当然顔を怒らせて怒鳴りつけた。「お前、何様だ!?偉そうにしやがってー」そうして指を突きつけようとしたところ、サッと本田がその身体で彼らを遮った。「申し訳ありません」「なんだ、お前!?」大勢の参加者の前で恥をかかされたと思った男が、本田の身体をドンッと押した。だが彼はびくともせず、相変わらず男の前に立ち塞がっていた。「そこをどけ!」「無礼な振る舞いはやめてください」「無礼だと!?」「……」本田はその大きな体躯を利用して、男にズイッと迫った。「な…っ」「社長は、あなたのお友達ではありません」「っ…」顔を寄せ、低い声で威圧するように囁くと、男は一瞬言葉を失い、目を泳がせた。その顔には、目論見の外れた焦りが浮かんでいた。男は、自分が准よりも年上であるというその一点を利用して強引に親しい態度をとることで、彼に自分を蔑ろにしないようにさせようとした。准も世間体などを気にするならば、親しげにする年上に対して突き放すような態度は取らないはず。そうして体裁を取り繕っている間に、このバカバカしい通達を取り消させてやろうと思ったのだ。一度でも「わかった」「もういい」という言葉が准の口から出れば、それを盾に娘を許すように持っていけばいい。そう思って、今日は早めに会場入りをして待っていた。そうして遂にやって来た准の周りには、大して脅威になりそうな大物もおらず、男はこのチャンスを逃すまいと近づいて行ったのだった。だがー。チッ!なんだ、あの態度は!?男は、自分の目の前に立ちはだかる准の秘書に、苛立たしげに舌打ちした。「秘書の分際で、当主同士の話し合いに水を差すとは、いい度胸だな?」威圧を込めて言ったつもりだった。普段こんな風に言えば、家族や部下、誰もが恐れたように口を閉ざした。でもこの本田という秘書は、「知り合いでもないあなたとの話し合いを、なぜ約束もなくするとお思いですか?」と嗤ったのだ。「なー!」カッと頭に血が登った。「お前、よくもー」「話し合いをご希望でしたら、まず、約束を取り付けてください。ではー」儀礼的に頭を下げて、本田は男に背を向け准の後を追ったのだった。*「くそっー!」

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   84

    芽衣が高等部に上がって初めての社交パーティーに、准はエスコートとして同伴していた。他に理那人と有紗、本田も伴い、その夜の彼らはとても賑やかだった。このパーティーの前、准は芽衣に婚約の申し込みをしていた。「芽衣、君が僕のShinin' Starだって言ったこと、覚えてる?」「キラキラ星!」パッと瞳を輝かせそう言った芽衣に、准は頷いた。「そうだよ。君はね、いつもその笑顔で僕を癒して、どんなに嫌なことがあって気持ちが沈んでいても、温かく見守ってくれる。それに、これからどう進んでいけばいいのか道に迷った時も、いつも僕を信頼して、疑うことなくその身を預けてくれる」小さくても明るく輝く君は、僕の人生を照らす道標、Shinin' Starなんだよ。そう真摯に告げる彼から、芽衣は目が離せなかった。「准ちゃ…」まっすぐに、その大きな瞳を見つめて語る准の言葉の意味を、全て理解することは芽衣にはできなかった。でもいつも准は優しくて、絶対に怒らない。自分と目が合うと、いつも嬉しそうに微笑ってくれる。どんなに仕事が忙しくても、自分のことを思い出してくれる。芽衣は准と離れていた間、自分がとても淋しくて、心細かったことを覚えている。病気になった時も、皆はすごく心配して悲しそうな顔をしていたのに、准だけは優しく「大丈夫だよ」「きっと良くなるよ」て微笑って言ってくれた。准の側にいると、いつもうきうきした気持ちになる。准に、「お星さま」と言われた時、本当に嬉しかった。だって、一番最初に教えてくれた歌だったから。芽衣は、小さい頃からの准との思い出を思い浮かべながら、ニッコリと笑った。「准ちゃ、芽衣は、ずっと准ちゃ…のお星さまだよ!」「芽衣…っ」ぎゅっと抱きしめられて、芽衣はふふっとくすぐったそうに笑った。「芽衣…僕の、お嫁さんになってくれる?」「うん!」「…本当に?」少し身体を離して尋ねられ、芽衣は今度、自分からぎゅっと抱きついた。「本当だよっ。芽衣、准ちゃ…のお嫁さ…に、なる!ーきゃっ…!」そういった途端、准に高く抱き上げられた。そしてくるくると何度か回って降ろされ、またぎゅっと抱きしめられた。「芽衣!ありがとう!…?芽衣…?芽衣、どうした!?」「准ちゃ…目が回るよ……」ふらっと足下がよろけた芽衣に焦って問うた准は、その答えに慌てて彼女を横抱

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   83

    福は空港で母親と妹に別れを告げ、会社に戻った。彼女たちは母親の実家を出て、この街を離れることにしたのだ。笑は望月家の令嬢ではなくなり、将来的に名家へ嫁ぐこともできなくなった。だが母親の実家は代々商人として大成しており、その財力も、人脈も、なんら劣らないくらい力を持っている。父親の耀も、実際のところそれを目当てに結婚をしたようなものだったのだろう。が、彼らは商人なのだ。耀のビジネスマンとしての実力に疑問を持った時点で、関わりを持つことから手を引いていた。母親もその時に一度離婚を勧められたそうなのだが、既に子を設けていたことから、それを思いとどまっていたのだという。今回は、兄妹それぞれが大きくなっていたことも理由の一つとして、彼女に離婚を決意させたのだ。長年の夫の横暴な振る舞いも、愛人に肩入れする身勝手さも、もう我慢しなくていいのだ。一時は崩れた家族に絶望もしたが、結局蓋を開けてみれば、一番いい方法を取ることができた。彼女たち親子は、それを整えてくれた蜷川に感謝した。笑も、高校進学からの転校だった為、大した負担にもならないし、心機一転、新しい場所でやり直す気持ちでいた。もうお嬢様たちの間であれこれ画策するのは御免だった。これからはちゃんとした、本当の友達を見つけて、素敵な人と恋をして、誰にも恥じない生き方をしたいと思った。「お母さん、行こうっ」晴れやかな笑顔で母親の手を引く妹に、福も笑って手を振った。そうして2人を見送ったのだった。*「戻ったか」「はい」准のオフィスに行くと、どこからかの電話を終えた様子の彼が言った。福はその顔を見て、彼の機嫌が悪いことを察した。「何かありましたか?」「いや…なんでもない」そう言われては、福も引き下がるしかなかった。准は彼の気遣いにほんの少しだけ口角を上げて微笑んだが、その胸の内で湧き上がる怒りはやはり静まらなかった。その電話は、芽衣を虐めていたある令嬢の家からだった。その令嬢の父親は准に謝罪に行きたいと言い、一方的に予定を組もうとしてきたのだ。なんて無礼なのだろう。彼は、准が真田家の当主の座を継いだことは知っていたが、自分よりも年が若く、経験も少ないと見て侮ったのか、全体的に上から物申していた。「うちの娘が失礼をした。謝罪に行こうと思うのだが…明日の午後にそちらにお邪魔するよ」

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   82

    *笑が真田家を後にしたのを見送って、福は准に頭を下げた。「ありがとうございます」「……」チラリと福に目を向けた准は、素っ気なく口を開いた。「別に。芽衣に直接謝りに来たのは彼女だけだったし。…そこは、評価してもいい」「…はい」2人は応接室から書斎に移り、准の前に立った福が改めて礼を言うと、しかし彼は冷たい声でそれを遮った。「礼などいらない。芽衣は許したかもしれないが、俺にはそんなつもりはないからな。ただー」お前が妹を助けてやることは目を瞑ってやる。それだけ言うと、准は途中になっていた書類を手に取って仕事に戻った。「ありがとうございます」福はそれに安心したかのような顔で、また頭を下げた。そして准の前を辞し、ポケットから取り出したスマホで信頼する弁護士に連絡を取ったのだった。トゥルルルル…トゥルルルル…『はいー』耳に届くこの深い声を、これほど頼りに思ったことはなかった。福は一つ息をつくと、依頼の話を口にした。「蜷川さん…笑を、助けてください」『……わかりました。お任せください』事情など聞かずとも、何もかも知っているかのように話す彼の自信に満ち溢れた声音は、いつでも福を安心させる。福はその顔に笑みを浮かべ、通話を切った。1ヶ月後。「お兄ちゃんっ」晴れやかな笑顔で駆け寄ってくる妹を迎え、福はその後から歩み寄って来る母親に笑顔を向けた。「母さん」彼女はついこの前までの生気の抜けたような表情から打って変わり、今は娘と共に明るい顔色をしていた。彼女は夫と離婚し、実家の姓に戻っていた。そして笑も彼女と一緒に望月家を出て、その名も母親と同じ姓に変えて尾形笑(おがたえみ)となっていた。状況だけ見ると愛人を囲った夫と離縁し、財産も貰わずに追い出されたような形となっていて、とても悲惨なようだった。でも彼女たちの顔にはそんな面影は全く無く、逆にどこかスッキリしたような晴れやかさがあった。福があの日頼んですぐ、弁護士の蜷川から笑の父で、彼女の夫である望月家当主、望月耀に面会の申し込みがあった。福への借りも全部回収されて他に用などないはずなのに、いったい何だ?…と訝しがりながらも承知すると、彼はとんでもないことを言ってきたのだった。「奥様から離婚の依頼を受けました。慰謝料、共有財産の放棄を条件に、笑さんの親権と即刻の離縁を望まれていま

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   81

    数日後ー。「お兄ちゃん…私、許してもらえるかな…?」不安そうに呟く笑に、福は言った。「この件に関して、俺に口を挟む権限はない」「……」その冷たい態度に笑の目にはじわりと涙が滲んできたが、ぐっと我慢した。今日のこの場を設けてくれただけ、感謝をしなければならないのだから。久しぶりの兄妹水入らずだというのにシーンと静まり返った重い空気が漂う中、やがて微かに足音が聞こえてきて、笑の緊張も高まった。そしてー「笑ちゃっ」「!?」驚いた。現れた芽衣が笑顔だったからだ。彼女は以前も痩せていたが、今は病気をしたからかそれ以上に痩せてしまっていて、ぶつかったりしただけで折れてしまいそうだった。腰近くまであったはずの髪の毛は短くなり、肌もまるで日にあたることがないかのように青白かった。「芽衣ちゃん…」目にして初めて、彼女が深刻な病気をしていたことに思い至った。それでも彼女の笑顔は花が咲くように見えて、笑は改めて自分たちのしたことに罪悪感を募らせた。「?…笑ちゃ、どうしたの?」芽衣は笑の顔がくしゃりと歪んだことに驚いて、首を傾げた。笑は堪らず涙を零した。「芽衣ちゃん……ずっと、ごめんね…。私…あなたにひどいことした…っ」「?」涙を流して頭を下げる笑に、芽衣はパチパチと目を瞬かせ、一緒に来た准を困ったように振り仰いだ。「准ちゃ…笑ちゃ、なんで泣いてるの?」本気でわからないというような顔をして尋ねる芽衣に、准は苦笑した。彼はとりあえず全員座らせると、改めて芽衣に向き合い、答えた。「芽衣は、彼女たちに沢山意地悪をされただろ?彼女は、それを謝りに来たんだよ」そう言うと、芽衣は驚いて目を見開いた。そして慌てて准の手を握り、首を振って言ったのだった。「違うよ!笑ちゃ…は、何もしてないよっ」「でも、黙って見てただろ?」准の問いかけに、「そうだけど…」と眉を寄せ、芽衣は少し考えていた。そしてやっぱり納得がいかないというように顔を上げると「でも…笑ちゃ……」と何かを言いかけて口ごもり、そして思い出したかのようにパッと笑顔になった。「テープ、貼ってくれた!」「テープ?」首を傾げると、芽衣は「うん!」と大きく頷き、拙いながらも説明をしたのだった。それは何度もしてきたように、沢口比奈が乗馬クラブの更衣室で芽衣に絡んだ時のことだった。その日

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   80

    くそっ…!なんでこうなった!?ガシャーンッ!!耀は苛立ちを晴らすようにリビングのガラステーブルを思い切り蹴りつけた。「キャーッ!!」粉々になったガラス片が辺りに散らばり、飛び散った欠片で笑の足が僅かに傷ついた。「痛っ…!」触ってみると指に血がついて、笑の顔が青ざめた。「お父さん!」「うるさい!!」荒い息を吐きながらギロッと睨みつけられ、笑は言葉を失った。「お前のせいだ!お前のせいで、我が家はもうおしまいだ!」せっかく福が真田当主の側付になったというのに!これからどんどん良くなっていくと思っていたのに!「この出来損ないめっ!!」バシッ!!今度の平手打ちも容赦なく、笑はそのままガラス片の散らばる床に倒れ込んだ。耀は、福と縁を切ったものの、彼の動向はずっと調べていた。そして今の彼が真田グループに就職しただけでなく、当主の側付として働いていると知ったのだ。これを利用しない手はなかった。彼は仕事を取る時に負けそうになる度に、この事実をそっと取引相手に告げていた。そうすることで、相手は耀のところと関係を持つことで真田家との繋がりを得られる可能性を見出し、多少の損をしても彼の会社と協業することを選ぶのだった。耀は福に株や金を取り返された困難を、彼の今の立場を利用することで補った。家族なんだから助け合うのは当たり前。本気でそう思っていた。だがー。耀は、以前福の弁護士として株などを取り返しに来た男、蜷川誠人の威圧するような目が、忘れられなかった。「これ以上、彼を食いものにするのは止めていただきます。これから少しでも手を伸ばそうものなら、私も手加減はしませんよ?老いさらばえるまで刑務所暮らしをさせることなど、容易いことですから。…よく考えて、これからは息をひそめて生きていってください」そんな風に言われて、耀のプライドは容赦なく踏みつけられた。これまで使い込んだ「福の」金も、少額のものは目を瞑ってくれていたのに、全て回収された。そのせいで事業に資金が回せなくて、今では家でも会社でも肩身の狭い思いをしているというのに!またこの娘はー!「今すぐ謝りに行って来い!土下座でもなんでもして、許してもらうまで帰って来るなっ!!」「っ……」笑はただ呆然と、信じられないものを見るような目で父親を見つめた。「さっさと行け!!」血走った目で髪の毛

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   57

    「あら、何か間違ったかしら?」そんな風に挑発されて、実際には何を言い返したらいいのかわからなかった友梨は、ただ目の前の女を睨みつけていた。そんな時ー「有紗、やめろよ。意地が悪いぞ」彼女を庇う言葉に振り向くと、理那人が困ったように微笑っていた。それを見て、友梨の胸の中が解けるように温かくなった。「理那人さん…」瞳を潤ませながら小さな声で呟く友梨に、彼は苦笑して頷いた。「すみません…妹はほんとに口が悪くて…」「え…」妹…?少し照れたように、気まずげにそう言った理那人に、友梨は目をパチパチと瞬かせた後、すぐに自分の勘違いに思い至って赤面した。「あ、い、いえ…っ!私こそ…すみ

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   56

    パーティー当日。トンッ…と軽く肩がぶつかり、手に持っていたシャンパンが少し零れた。「ちょっとー!」「失礼っ…」すかさず文句が口をついて出そうになった。だが相手を見た瞬間、友梨の目が僅かに見開かれた。「あの…大丈夫ですか…?」「……」ぶつかった相手の窺うような眼差しに、彼女はハッと息を呑んだ。なんて綺麗な瞳なの…。男が自分に向ける心配げな瞳は、金色がかった茶色に見えた。その鼻筋は真っ直ぐスッと伸び、薄い唇から紡ぎ出される声音は柔らかく、気遣いに満ちていた。「あの…?」「あ、は、はいっ。大丈夫…です」細身なのにしっかりとした身体つき、オーダーメイドだろう高級なスーツは色も

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   55

    「関根さん、聞いていますか?」「っ…」直属の上司である本田に声をかけられ、友梨はハッとした。今彼女は、一週間後にあるとある慈善パーティーへの参加を申し渡されていた。もちろん准と一緒に、だ。それがほんの数日前の彼の態度とは真逆な気がして、信じられずに呆けていたのだった。やっぱり私のこと、気にしてくれていたのね…。そんな風に思って頬を染めていると、本田が訝しげに質問を繰り返してきた。「ドレス、用意できますか?」「ドレス?あ…、はいっ。大丈夫です!」「……」本田はこの短い期間でドレスの用意ができるのか問うただけなのに、なぜ彼女はこんなにも張り切っているのか…それがわからなくて

  • Your'e My Only Shinin' Star〜あなたに逢いたい〜   50

    陸は乗馬クラブに着くとすぐに、行きあったスタッフの一人に中原と芽衣の居所を尋ねた。だがそこで教えられたのは、彼らが〝最低でも1年くらいの休みを取っている〟ということと、〝もしかしたらそのまま辞めてしまうかもしれない〟ということだった。どういうことだ?あの2人に何かあったのか…?陸はその理由がわからなくて、その場で深く考え込んでしまっていた。だからそのすぐ隣で、比奈が不機嫌に唇を歪めていることになど気づくはずもなかった。また芽衣!?なんであの子ばっかり!そんなに気にして、ほんとに好きになっちゃったんじゃあないでしょうね!?比奈は拳をぎゅっと握りしめ、怒りを噛み殺していた。そしてそ

More Chapters
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status