されるがまま、僕が抵抗もせずに縛られていると、芯が奏斗さんに蹴りかかった。奏斗さんはひょいと避ける。あわや、頬に直撃するところだった。
「っぶね。へぇ····、まだ折れてないんだ。おっけ、先に芯クンから壊しちゃお。お前はそこで見てなね。大事な芯クンが俺に堕ちてくとこ♡」
奏斗さんは、芯の脚を縛り身動きを取れなくする。次に僕を縛り終えると、芯を開脚した状態に縛り直した。
手は後ろ手に、さっきよりも雁字搦めに縛り、口にも縄を掛ける。そして、四つ這いにして一切抵抗できなくなった芯のお尻を鷲掴み、一息に根元まで突き挿した。言葉にならない悲鳴をあげる芯。余程痛いのだろう。涙とヨダレが溢れ、二突き目には嘔吐してしまった。縄を食いしばり、声を我慢する芯と目が合う。気がつくと、僕のほうが涙をポロポロ零していた。
「センセ《へんへ》··泣くなって《ひゃふはっへ》····。俺《ほぇ》····大丈夫だから《はいひょーふはひゃや》」
大丈夫なわけがないじゃないか。そんな言葉さえ返せないほど、唇の震えが止まらない。
奏斗さんは縄を手綱《たづな》の様に握り、芯の上体を引き起こす。奥を深く抉られて辛いだろう。それでも、芯は僕に声を聞かせないよう抑える。 奏斗さんは芯を快楽漬けにし、意識が飛ぶと痛みを与えて起こす。それを絶妙に繰り返し、芯のメンタルを削ってゆく。 強気の芯も、流石に限界が近いようだ。目が虚ろになり、僕には見せなかった表情を見せ始める。 完全に蕩けきった顔だ。僕だって、ここまで緩んだ顔を見た事はない。痛みを伴う快楽に表情《かお》を歪め、苦しみから逃れようと唸る。芯は、少しでも奏斗さんの突きから逃れようと、身を捩《よじ》って上へ上へと逃げる。 けれど、そんな抵抗を奏斗さんは許さない。芯の腰を持って、思い切り引き寄せる。芯の腹の奥がぐちゅっと潰れる音が聞こえた。実際には聞こえていないが、僕の脳にはハッキリと伝わった。 その瞬間、僕の中で感情が途切れた。腸が煮えくり返るような腹立たしさも、逆らうと何をされるか分からない恐怖心も、一度《ひとたび》静かになると感情が音を失くす。「奏斗さん、それ以上芯を弄ばないでください。僕が貴方を満足させますから····、もう··芯を離して」
僕は、無感情に奏斗さんを睨む。今更だけど、芯の心が崩れ堕ちる前に僕が守りたい。
けれど、奏斗さんは僕の言葉になど耳を貸さない。それどころか、鞄から細く長いチューブを取り出した。片端にはポンプがついている。あの中には食塩水が入っているはずだ。僕も何度かされた事がある。 尿道から挿し込み、あのポンプに入っている液を全て膀胱に注がれるのだ。限界まで我慢させ、耐えきれず漏らすのを嘲笑いながら喉奥を犯す。2度目は、身体が狂うまでブジーを挿して栓をされる。まさか、あれを芯にするつもりだろうか。何をされるか想像もつかないであろう芯は、怯えながら奏斗さんの様子を窺っている。僕は、慌てて奏斗さんを制止する。
「それはっ! 本当にやめてあげてください。僕が····僕にシてください····」
なんとか声を出せるようになったとて、我が身を差し出すくらいしかできない。それでさえ無視されるのだから、残る手段はひとつ。
芯の前では、これ以上の醜態を晒したくはなかったのだけど、そんな悠長な事を言っていられる状況ではない。僕は、這って奏斗さんに近寄り、縋りつくように見上げて言う。「奏斗さん、僕をイジメてください。昔みたいに····容赦なく使ってください」
そう言って、僕は奏斗さんのモノを咥えようとした。それで、芯の代わりを担えるのなら。
まさにその時、芯が僕を蹴るように背中を押した。縛られているのに、なんて器用なんだ。「何、ふざけた事ばっか··シようとしてんだよ! 先生、しっかりしろよ」
「芯クンはメンタル強いねぇ。君みたいな子折るの、俺だぁい好き♡ ····だからさ、見てろよ。お前の大好きな先生が、俺にぐっちゃぐちゃに犯されるところ」
奏斗さんは、自分の唇を指でゆっくりと撫でながら、芯を見下ろして高圧的に言葉を放つ。威勢の良かった芯の怯えた顔は堪らない。
だけど、芯の目はまだ死んでいない。僕だって、犯されようが壊されようが、もう心を持っていかれたりはしない。奏斗さんは芯をベッドから降ろし、縛られたままの状態でロフトへ続く梯子《はしご》に繋げた。
「クッソ! イカレ野郎!! 解《ほど》けよっ!!」
「あっはは、ホント元気だねぇ。そこで指咥えて見てな。····あ、咥えらんないだったね〜」
奏斗さんは芯の制止を無視して、何の躊躇いもなく僕の喉にねじ込んだ。
「チッ····俺のだぞ! 勝手に触ってんじゃねぇよ!!」
「ハァァァッ····、俺の俺のってうるせぇな。芯ク〜ン、コイツはさぁ··今でも俺のだよ。なぁ、零《れーい》♡」
耳に劈く甘い響き。視界がチカッと弾け、途端に気道が絞まる。ベッドに落ちた僕は躯体を丸め、口を大きく開いて空気を吸い込もうと足掻く。
奏斗さんは呼吸のできない僕の口に、完勃ちしたペニスを再びねじ込ませる。どちらにしても息ができない。酸欠で意識が朦朧とする。 あの頃の、絶対的に服従していた感覚が蘇り、脳が溶けてゆく浮遊感で達してしまった。名前を呼ばれ、呼吸困難に陥った僕の口を、奏斗さんは容赦なく犯す。鬼畜の所業だとは思わない。こんなの、まだまだ甘いほうだから。 僕の前髪を鷲掴み、壁に追い込んで喉奥まで押し込む。窓枠に片手を掛け、喉を壊す勢いで使う。息ができない。逃げられもしない。 あぁ、芯が僕を心配してくれている。目に沢山涙を溜めて、無意味に奏斗さんを睨む。そんな事をしても、奏斗さんは気にも留めないのに。「顎はずしていい? 根元まで挿れるよ」「んぅーっ··ぇ゙ぁ゙··ぉ゙、あ゙ッッ!!」 喉の奥を強引に開くと、根元までねじ込んだ。同時に、ガゴッっと鈍い音が脳に響く。久々に鳴った、顎の外れる音だ。懐かしい痛みに、体温が上昇してゆく。 芯が激昂しているが、奏斗さんは振り向きすらしない。芯の声が遠くで聴こえる。僕は、視界の隅でそれを見ているが、劈くような痛みでそれどころではない。 けれど、おかげで息をする事ができた。まさか、これを狙っていたわけではあるまい。大丈夫、都合のいい解釈には懲りている。 そして、痺れた脳で感じるそれは、僕のペニスを勃たせる快感にすぎなかった。痛みと快感の繋げ方は、嫌というほど身体が覚えている。 小便を漏らし、顔から出る汁を溢れさせ、まるでさっきまでの芯の様だ。こんな姿を見てなお、僕を自分のものだと訴えてくれている芯。 まだ奏斗さんへの対抗意識を燃やしているのだろうか、真意は分からないが嬉しい。どうやら僕の心は、自分で思っているよりも随分と芯に執心しているらしい。 ほら見ろ、奏斗さんの懐かしい責めに、反応するのは身体だけだ。なんて強がりも、心に留めておかねばなるまい。 奏斗さんは僕の顎を嵌めると、所謂チングリ返しの体勢にして足首を持ち上から突き挿す。痛みと嫌悪感で、込み上げるものを飲み込めなかった。「かはっ····ゔぇ゙ぇぇ······」「あぁ、久々だしキツい?
僕は何もかもを諦め、奏斗さんに手首を縛られる。光沢のあるワインレッドのネクタイ。奏斗さんが昔から好んで身につけていた色だ。血の染みがイイ色になるんだと言っていた。 藻掻く事さえも許さないくらい、ギチギチに縛られる。機嫌が悪いとこうなのだ。見える所に痕をつけられるのは困る。けれど、そんなことを言えば首や顔にもつけられかねない。 されるがまま、僕が抵抗もせずに縛られていると、芯が奏斗さんに蹴りかかった。奏斗さんはひょいと避ける。あわや、頬に直撃するところだった。「っぶね。へぇ····、まだ折れてないんだ。おっけ、先に芯クンから壊しちゃお。お前はそこで見てなね。大事な芯クンが俺に堕ちてくとこ♡」 奏斗さんは、芯の脚を縛り身動きを取れなくする。次に僕を縛り終えると、芯を開脚した状態に縛り直した。 手は後ろ手に、さっきよりも雁字搦めに縛り、口にも縄を掛ける。そして、四つ這いにして一切抵抗できなくなった芯のお尻を鷲掴み、一息に根元まで突き挿した。言葉にならない悲鳴をあげる芯。余程痛いのだろう。涙とヨダレが溢れ、二突き目には嘔吐してしまった。 縄を食いしばり、声を我慢する芯と目が合う。気がつくと、僕のほうが涙をポロポロ零していた。「センセ《へんへ》··泣くなって《ひゃふはっへ》····。俺《ほぇ》····大丈夫だから《はいひょーふはひゃや》」 大丈夫なわけがないじゃないか。そんな言葉さえ返せないほど、唇の震えが止まらない。 奏斗さんは縄を手綱《たづな》の様に握り、芯の上体を引き起こす。奥を深く抉られて辛いだろう。それでも、芯は僕に声を聞かせないよう抑える。 奏斗さんは芯を快楽漬けにし、意識が飛ぶと痛みを与えて起こす。それを絶妙に繰り返し、芯のメンタルを削ってゆく。 強気の芯も、流石に限界が近いようだ。目が虚ろになり、僕には見せなかった表情を見せ始める。 完全に蕩けきった顔だ。僕だって、こ
急いで仕事を片付け、タクシーを拾って帰宅した。見上げると、家の明かりがついている。 芯が待ってくれているんだ。そう思うと、部屋までの足取りがいやに軽い。 鍵を開け、扉を開いて気づく。玄関には、僕達の物ではない靴がある。嫌な予感がして、心臓が大きく跳ねた。胃の辺りはズクズクと重い。 その瞬間、芯の甘い声が聞こえた。脳が揺れそうなほど、勢い良く顔を上げる。 恐る恐る、声が聞こえた寝室の扉を開く。すると、目を疑う光景が飛び込んできた。 芯が、力無く上体をベッドに落としている。そして、そんな芯の腰を持ち上げ、バックで犯している奏斗さんが居た。芯は動かない。どうやら、意識を飛ばしているようだ。 気の強い芯の事だから、相当奏斗さんを煽ったはずだ。あれは、容赦など知らない快楽責めをしている時の顔。僕が騙された、最も甘い奏斗さんだ。 気絶しているから、お尻が緩んでいるのだろう。奏斗さんは指も一緒にねじ込んでいる。苦しそうだ。 それに、よく見ると芯のペニスは、射精できないように縛られている。きっと、余程辛い目にあったのだろう。玉も根元で縛られていて、少し腫れているように見える。 僕は呆然と立ち尽くし、肩に掛けていたバッグを落とした。奏斗さんは、うっすらと笑みを浮かべて芯を犯しながら、僕の方を見ずに声を掛ける。「おかえり。遅かったね」 首元から耳へ、這うような声に身体が跳ねる。奏斗さんの、芯を見下ろす瞳は無機質で、その横顔からは全く感情が読めない。 けれど、この肌がビリビリと痺れるような感覚。奏斗さんが怒っている時の雰囲気だ。嬉々として犯しているのに、滲み出る空気が痛い。 どうして奏斗さんが此処に居るのだ。何故、芯を犯しているのだ。聞きたい事はあれこれ脳内を飛び交う。けれど、僕は声も出せずに固まったまま。恐怖で、声帯がピクリとも動かない。 僕がたじろいでいると、奏斗さんは芯の耳を噛んで囁いた。「芯クーン、起きな」 ポケッとした顔で、僕を視界に入れる芯。表情が少し緩むと、芯は声を絞り出して呟いた。「センセ&
奏斗サンは、俺のケツを叩きまくってキャッキャと喜んでる。これ、表面じゃなく肉が痛ぇの。 バカみたいにバチンバチン叩くから、もうケツの感覚がなくなってきた。「あれ? 泣いてんの?」 だって痛ぇもん。お前もされてみろ。とか言ってやりたいけど、痛すぎて喋れねぇ。「はぁ····。零、帰って来ないねぇ。んじゃ、しょうがないから芯クン食べて待ってようかな〜」「んぇ? ····らめ。やら。挿れんな··イカれ野郎」 涙でぐっしょぐしょで情けないけど、なんとか奏斗サンの顔を見て言ってやった。先生も、ちょっとはスッキリするかな。 俺の言葉を聞いて、目を細める奏斗サン。すんげぇエロく舌なめずりして、先生よりデカいちんこを取り出す。そんなグロいの、マジで絶対入んないって。「待っ····ぁにそぇ····ンなの、入んねぇよ····」「は? 何言ってんの。挿れるんだよ」 半笑いで、ロクに解してもいないアナルに、バカみたいにデカいちんこを強引にねじ込む。痛い。熱い。絶対切れてる。 奏斗サンは『キッツ····』とか言いながら、ズッポリ根元まで押し込みやがった。先生よりも奥に入って、慣らしてない結腸口でぐっぽぐぽ好き放題に遊ぶ。「ひあ゙っ、痛ッ、腹痛いぃ! やめっ、んあ゙あ゙ぁ゙ぁ゙!!」「ん〜っ、イイ声♡ すっげぇ可愛い声で哭《な》くね。昔の零より小さいし、イジめんのは芯クンのほうが燃えるわ」 イカれた事ばっか言って、猿みたいに腰を振り続ける。なぁ先生、こんな奴のドコが良かったんだよ。 痛いし怖いし、気持ちくなんねぇじゃん。なんでだよ。先生がくれる痛みは、ちゃんと気持ち良くなれんのに。コ
仕事の遅い先生を置いて、先に先生の家へ向かう。 で、最後の角を曲がった時、後ろから口を塞いで拉致られた。 薬を嗅がされて、気を失ってたみたいだ。頭痛ぇし気分が悪い。 真っ暗な部屋。ドコだろう。いや、知ってる。先生の部屋だ。先生の匂いが充満してんだもん。てことは、拉致ったのは先生? そんなはずはない。仕事、めっちゃ残ってるってボヤいてたし、先生は薬の類を絶対使わない。「おい、誰だよ」「開口一番喧嘩腰かぁ。威勢がいいねぇ、芯クン」 聞き覚えのある、耳に絡みつくような声。俺をイラつかせる声だ。「テメェ、奏斗だろ」 誘拐犯は、パチッと電気をつけた。一瞬眩む視界。細まった視界に入ったのは、やっぱあのクソ野郎だった。「せ〜いか〜い」 奏斗サンは、学生証を見ながら言う。「徳重芯クン。××高校の3年生か。だーれがハタチだって? ガキじゃん」 これは絶対マズい。状況はよくわかんねぇけど、とにかくマズいのは間違いない。 けど、コイツ案外バカなのかもしれない。聞いてもないのに、ペラペラと犯行の一部始終を話し、本来の計画まで喋り始めた。 本当は、先生を拉致って犯すつもりだったらしい。けど、学校から出てきた俺を見つけて、面白半分で尾行したんだとか。そしたら、俺が先生の家に向かうから、予定を変更して俺を拉致ったと····。 いや、なんでだよ。俺を拉致ってどうすんだよ。 後ろ手に縛られ、片足がベッドに繋がれてる。逃げられはしないみたいだ。 つぅか、待ってりゃ先生帰ってくんだけど。絶対ヤバいやつじゃん。 奏斗サンは、ベッドに腰掛けて俺のズボンを脱がす。「芯クンはさぁ、零をどうやって抱いてんの? 普通に抱いても満足しないでしょ、あのド淫乱」 絶倫ではある。淫乱かどうかは知らねぇし。どうやってって、されてる事をしてるっぽく言えばいいのか? あー··
朝食と一緒に、素っ気ない置き手紙と飾り気のない鍵を置いてきた。噛んだ箇所の手当はしたが、芯はどうせ登校してこないだろう。 昨日の今日だ。きっと、悠々自適にベッドを独占して起きない。 4限目が終わり、昼休みで校内が賑わう。物好きにも、僕しか居ない生徒指導室に遊びに来る生徒が時々いる。 彼女もその一人。松尾 依智華《いちか》は、芯の元彼女だったはず。少しの気まずさを感じながら、それを悟られないように振る舞う。「先生さ、彼女いないの?」「いないよ」「うっそだ~。最近、怪しいって噂だよ?」「····どんな?」 心臓がトクンと跳ねる。芯との事だろうか。「え~。なんかねぇ、ソワソワしながら帰ってるトコ見たって子が何人かいてさ、彼女とデートっぽくない? って」「はは、違うよ。今、仔犬を預かってるんだ。その子が可愛くってね。それで、帰るのが楽しみなだけだよ」 そう、あれはまだ預かっているだけ。まだ、僕のモノではない。 それにしても、そんなに分かりやすく出ていたのだろうか。気を引き締めなければ、どこから露見するか分かったものじゃない。「マジで? 写真とかないの? めっちゃ見たいんだけど~」「ごめんね。1枚もないんだ」 そんな危険なものを、スマホに保存などできるはずがない。僕の宝物の一部は、然るべき所に保存してある。決して他人に見せたりはしない。 この子はいつまで居座る気だろう。効率よく仕事を片付けて、残業だけは避けたいのだけれど。定時丁度に終えて、早く芯の待つ家に帰りたい。 少し探る気ではいたが、どうやらこんな子供を探る必要もなさそうだ。余計な事を言うのも、時期が悪いだろう。 芯の元彼女ではあるが、性欲の発散に使われただけの器。そう思えば、そういう玩具だったのだと割り切れる。故に、妬く必要もない。 おそらく芯の目には、彼女も他の女の子も同じに見えていたのだろう。けれど、僕だけは違う。そう思える今があるから、僕の心は静けさを