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第三十九話——寂しさを埋める旅

Author: 桜庭結愛
last update publish date: 2026-06-09 14:00:00

 今日は待ちに待った修学旅行の日だ。待ち合わせ場所の駅まで蓮と別々で来ていた。なんと、私はこんな大事な日に寝坊してしまったからだ。

「おはよー!」

「おはよう陽菜」

 蓮を見つけて駆け寄る。肩で呼吸をしながら挨拶をした。そんな私の肩に蓮が優しく手を置く。

「そんな走らなくてもまだ大丈夫だ」

「う、うん」

 蓮の優しい笑顔に心が温かくなった。呼吸を整えて私も笑顔を浮かべる。

「陽菜、おっはよー!」

 すると後ろから勢いよく抱きつかれた。

「志織、おはよう!」

 私は少し後ろを向いてニコッと微笑む。

「早く着きすぎちゃったね」

「そうだね」

 志織は私から離れて、私の隣に来た。

「そういえば蓮、翠は?」

「あー……」

 なぜか不機嫌そうな表情になる。唇を尖らせてプイッと顔を逸らした。唇を尖らせる蓮を見て、少しだけ子どもみたいだと思った。

「美咲と来るって言ってたから置いてきた」

「なるほどね」

 もしかしたら翠と一緒に来れなかったこと
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  • 「おはよう」って云いたい   第三十九話——寂しさを埋める旅

     今日は待ちに待った修学旅行の日だ。待ち合わせ場所の駅まで蓮と別々で来ていた。なんと、私はこんな大事な日に寝坊してしまったからだ。「おはよー!」「おはよう陽菜」 蓮を見つけて駆け寄る。肩で呼吸をしながら挨拶をした。そんな私の肩に蓮が優しく手を置く。「そんな走らなくてもまだ大丈夫だ」「う、うん」 蓮の優しい笑顔に心が温かくなった。呼吸を整えて私も笑顔を浮かべる。「陽菜、おっはよー!」 すると後ろから勢いよく抱きつかれた。「志織、おはよう!」 私は少し後ろを向いてニコッと微笑む。「早く着きすぎちゃったね」「そうだね」 志織は私から離れて、私の隣に来た。「そういえば蓮、翠は?」「あー……」 なぜか不機嫌そうな表情になる。唇を尖らせてプイッと顔を逸らした。唇を尖らせる蓮を見て、少しだけ子どもみたいだと思った。「美咲と来るって言ってたから置いてきた」「なるほどね」 もしかしたら翠と一緒に来れなかったことが少し寂しいのかもしれない。私も約束していた当日に、他の人と行くと言われたら嫌な気持ちになる。そういうことだろう。 その後、クラスメイト全員が集まり、集合時間を過ぎてから新幹線に乗った。「ワクワクするー!」「ふふっ、そうだね」 私は志織と隣同士で座っていた。通路を挟んで隣に蓮が座っている。「そうだ!お菓子持ってきたよ」「私も!」 そう言って私たちはお菓子をカバンから取り出した。「おい、あんまり食べ過ぎんなよ」 はしゃいでいると、隣で蓮が言葉をこぼす。お母さんみたいなことを言うので特に反応もしなかった。「て、聞いてないし」「聞いてる聞いてる」「雑な返事だな」 蓮は私のお菓子を取ると、パクッと口に入れる。「翠も同じクラスだったら良かったなー……」 思わず本音がこぼれてしまい、アッと口を押さえる。隣で志織が目を丸くした。「ごめん、忘れて」「う、うん」 少し気まずい沈黙が流れた。私はそれを誤魔化すように元気

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    次の日の朝、いつも通り準備を終わらせ、インターホンが鳴るのを待っていた。 ピーンポーン。 私を呼ぶ音が家中に響いた。 「はーい」 「よぉ、準備は終わってるな」 「もちろん」 靴を履いてさらに扉を開けると、蓮の後ろに翠が立っていた。 「あ!翠も来てくれたんだね!おはよう」 「うん。おはよう、陽菜」 少し変わってしまった私たちの会話に少し寂しい思いをしたが、翠と朝から話せているという事実が何よりも嬉しかった。 「三人で登校するのは久しぶりだねー」 「そうだな」 歩きながらそう話して、事故の前までは翠と二人で登校していたこと、昨日までは蓮と一緒に登校し

  • 「おはよう」って云いたい   第七話——嬉しい知らせ

    今日も蓮と二人、同じ道を歩いて学校に向かう。最近は学校に行くのが少しだけ憂鬱だった。しかし蓮に悟られないように、いつも通りを装う。 下駄箱は男女で分けられており、女子の下駄箱の裏側が男子になっている。私は自分の下駄箱を開けて思わずため息をついた。 ――まただ。 丸められたプリントの切れ端や、悪口の書かれた白い紙。ここ数日、ゴミが入れられていたり教科書が隠されたりと小さな嫌がらせが続いている。原因はきっと、蓮との距離が近くなったことだ。 元々蓮は顔も良くて勉強もできる。だから人一倍モテるけれど、彼は告白されても冷たく突き放す。そのせいで女子に恨まれることも少なくなかった。そしてそ

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