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123話

Author: 籘裏美馬
last update publish date: 2025-12-11 19:40:10

苓さんの車の中、私の唇を何度も何度も塞ぐ苓さんに、最初は押し戻そうとしていたけど、いつの間にか私の手は縋るように苓さんの首に回っていた。

会社を出て、家まであと少し、という所で苓さんは路地に方向を変えて、車を停車した。

私が不思議そうに窓の外を見た時に、運転席側からシートベルトを外す音が聞こえた。

何か話でもあるのだろうか。

そう考えた私が、苓さんに顔を戻した時。

シートベルトを外し、体を私に寄せた苓さんに唇を塞がれたのは数分前だった。

「──んぅっ、ちょっ、苓さ……」

「すみません茉莉花さん、あと少し……」

「んっ」

何度も唇を合わせ、可愛らしいリップ音が車内に満ちる。

いやらしい雰囲気のキスじゃなくて、ただ唇同士を触れ合わせ、気持ちを伝え合うような優しいキス。

それからたっぷり、数十秒程が経ってから、ゆっくりと苓さんの唇が離れた。

いつの間にか私の体に覆い被さるようにしていた苓さんも、小さく息を吐き出しながら運転席に戻る。

「我慢できなくて……すみません」

バツが悪そうに自分の顔を手のひらで覆いながらそう口にする苓さん。

私は首を横に振った。
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