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第12話

Autor: キュートキャット
彩羽が電話をかけてきた時点で、ろくな用件じゃないと分かっていた。

だから、最初から録音していた。

まさか、本当に決定的なものが録れるとは思わなかったけれど。

とはいえ、彼女の行為はせいぜい道徳に問題がある程度で、故意の殺人とまでは言えない。

結局のところ、すべての根源は楓人の過剰な甘やかしにある。

たとえ送金を止めたのが彩羽だったとしても、社長である楓人なら、いくらでも振り込む機会はあったはずだ。

――彩羽みたいな人間にとって、一番残酷な罰は、すべてを失わせること。

楓人。私を愛していると言うのなら......

その愛、少しは役に立ててみせて。

私は録音データを、楓人のメールアドレスに転送した。

これは、私たちの習慣だった。

口にできないことは、メールで伝える。

メールにはパスワードがかかっていて、お互いでも教え合わない。

付き合っていた頃、私たちはよくそこで想いを綴っていた。

「いつか年を取ったら、一緒に読み返そう。きっとすごくロマンチックだ」

あの頃の私たちは、そんな未来を疑いもしなかった。

まさか、共に老いることもなく、こんなにも痛ましい形で別れる
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