私はずっと、気取った東京人に居心地の悪さを感じていた。
私は東京生まれ東京育ち、親戚みんなだいたい23区。そんな私だからこそ憧れる地、大阪。もしかしたら常に自分の利益を求めてしまう私を肯定してくれる場所なのではないかと期待しているのだ。私がなぜ関西というか、大阪に憧れを抱くかというと商売人のスピリットを持っているところが好きなのだ。
中学の修学旅行の行き先が京都、奈良だったときでさえ、なぜ大阪には行かないのかと怒りさえ覚えた。京都が日本の中心だったのは遥か昔のことで、その時の歴史など曖昧な上に大して今後の将来に役立たない。一元様お断りのお店に連れて行ってくれるなら話は別だ。
ジャンボタクシー貸切で教科書や副読本で様々学んだ観光地をスポットで連れて行く意味が分からなかった。コンビニまでも景観を気遣って守っている京都の価値を考えさせる為、街を歩かせたりもしないのだ。東京住まいの人間に現在の西中心大阪を見せ、自分たちにないものを学ばせようとなぜしないのだろう。
だから三池の父親が生粋の関西人だと知り、大阪が気になっている私が彼に惹かれるのはやはり遺伝子レベルだと思った。三池の両親の美容室はとても商売上手だった。
美容院で一番嫌なトリートメントを進めてくるトークがない。それにもかかわらず、手書きの詳しいトリートメントの説明が常に見えるところにある。シャンプーも8種類から選べて、私は気になっていた炭酸シャンプーをしてもらった。
ドライヤーも気になってた最新機種3種類から選べた。好きなメーカー2種類で迷っていたら、2つ使って試させてくれた。お会計の時に炭酸シャンプーを一緒に買ってしまった。
ドライヤーはネットで調べて最安値のところで買おうと決意した。この倹約家の私に予定していたもの以上のものを買わせるその手腕に感嘆したのだ。それはやはり彼の一家は私の好きな商売人のスピリットを持っているということだ。「あれ、そもそも私たち付き合ってないか、なぜこないだ出産も結婚もしないと決めたのに同居の妄想をしている
「え、どこ?パンキョー?私法概論?」私はどこかの大学の大講堂の一番後ろの端の席にいた。どうやら今講義が終わったようで、学生たちが出口に出て行く。「戻ったんだ。」エレナは大学で私法概論の講義を受けていたみたいだ。レオハード帝国に戻った時、アランの役に立つ知恵を身につけたいとでも思ったのだろうか。ダンテ様関連のやらかしの挽回のために、レオ君を懐柔作戦までたてていたが戻ってきてホッとした。レオハード帝国で2人は無事結婚式に間に合っただろうか。「きっと性格に難はあっても素敵な子なんだろうな、エレナ・アーデン。」アランは生来のものか、育ちが良すぎるのか純粋過ぎる人物だ。それゆえに他人の影響を受けやすいように思った。「周囲はみんな詐欺師だよ。」幼少から側にいたカルマン公爵の言葉をそのまま学び取り、貴族たちには疑いの視線を常に向けていた。大好きなエレナの姿の私がライオットの近くにいると、心から傷ついていて激怒した。私がエレナ・アーデンの髪を切ると彼女の身を案じて号泣していた。普段しっかりと皇太子の仮面を被って武装しているが、内面がピュアで繊細だ。大人になった彼も本当に心配になる程ピュアだった。「エレナを愛する権利だよ。」彼が曇りなきまなこで私を見ながら言ってきた時は、ホワイティーすぎる発言に笑い転げそうになった。あんな純粋な絶滅危惧種のような人間が、あの世界の最高権力者でまっすぐ成長したのは幸運なことだ。彼の純粋さはエレナ・アーデンが守っているのだろう。世界を征服したような皇帝が純粋なままでいられるなんて奇跡に近い。「僕のエレナが「僕」て呼んでいる方が良いっていったんだ。」彼女に言われればキラキラした目で従ってしまう。そのせいで、あの世界はボクチャン皇帝に支配されている。あの不自然なナルシストな仕草もどうせ彼女が褒めたりしたのだろう。彼女が褒めてくれたのが嬉しくて、過剰に取り入れてそうだ。エレナ・アーデンが私のように程よ
「レノア様!頭が痛いです。」エアマッスル副団長が声をかけてきて、レノアは私に軽く会釈をすると彼の方に駆け寄った。明らかにニヤニヤしている彼はただ彼女と話したいだけで仮病だろう。私なら引き攣った顔で、部屋に戻って休むように言うだろう。彼女は真剣に彼の話を聞いて診察をしている。まあ、万が一もあるからやはり彼女のように丁寧に対応した方が良いのかもしれない。能力も適正もある彼女のような人が医者になれる世界になってよかった。この世界は、今アランが徹底的に管理している。平民であろうと特別な成果を上げれば爵位が授けられる。努力すれば報われるのだから、人々がやる気を出し沸き立って当たり前だ。貴族でも不正を働けば処罰される。あぐらをかいてきた貴族は今の世界に不満を持つかもしれないが、自分の母方の実家まで処罰した皇帝をみれば、自分の地位を保つためにも必死に努力するだろう。領地を収める領主たちはアランの厳しいチェックが入るようだから、彼らの能力向上にもなる。皇族に生まれた責務を、スーパーコンピューターを搭載した彼が本気でまっとうしようとしているのだ。周囲の話を聞くに執務室にこもりっぱなしらしいから、さすがの彼でも処理する仕事が多すぎるのだろう。こんな地方でやる先ほどの演劇にまでチェックを入れている彼の完璧主義っぷりは心配になる。おそらく、そんな彼に息抜きをさせたくてエレナはボート遊びに誘ったのかもしれない。この世界は一夫多妻制をとっているけれど、皇帝であるアランがエレナ一筋で憧れの的になっているので、たった一人の妻を愛することが美徳として浸透してきたらしい。モテたいだろうこの世界にいる雷さんは、自分の書いた小説がプレミア価格に高騰して儲かっているらしいし、どうせ多くの妻を囲っているのだろう。ライオットが日本のラノベ作家は大して儲からないといっていたのだから、雷さんもこの世界で女に囲まれて左うちわで暮らした方が幸せなのではないだろうか。正直会いたくな
私はずっと、気取った東京人に居心地の悪さを感じていた。私は東京生まれ東京育ち、親戚みんなだいたい23区。そんな私だからこそ憧れる地、大阪。もしかしたら常に自分の利益を求めてしまう私を肯定してくれる場所なのではないかと期待しているのだ。私がなぜ関西というか、大阪に憧れを抱くかというと商売人のスピリットを持っているところが好きなのだ。中学の修学旅行の行き先が京都、奈良だったときでさえ、なぜ大阪には行かないのかと怒りさえ覚えた。京都が日本の中心だったのは遥か昔のことで、その時の歴史など曖昧な上に大して今後の将来に役立たない。一元様お断りのお店に連れて行ってくれるなら話は別だ。ジャンボタクシー貸切で教科書や副読本で様々学んだ観光地をスポットで連れて行く意味が分からなかった。コンビニまでも景観を気遣って守っている京都の価値を考えさせる為、街を歩かせたりもしないのだ。東京住まいの人間に現在の西中心大阪を見せ、自分たちにないものを学ばせようとなぜしないのだろう。だから三池の父親が生粋の関西人だと知り、大阪が気になっている私が彼に惹かれるのはやはり遺伝子レベルだと思った。三池の両親の美容室はとても商売上手だった。美容院で一番嫌なトリートメントを進めてくるトークがない。それにもかかわらず、手書きの詳しいトリートメントの説明が常に見えるところにある。シャンプーも8種類から選べて、私は気になっていた炭酸シャンプーをしてもらった。ドライヤーも気になってた最新機種3種類から選べた。好きなメーカー2種類で迷っていたら、2つ使って試させてくれた。お会計の時に炭酸シャンプーを一緒に買ってしまった。ドライヤーはネットで調べて最安値のところで買おうと決意した。この倹約家の私に予定していたもの以上のものを買わせるその手腕に感嘆したのだ。それはやはり彼の一家は私の好きな商売人のスピリットを持っているということだ。「あれ、そもそも私たち付き合ってないか、なぜこないだ出産も結婚もしないと決めたのに同居の妄想をしている
「産婦人科の病床を半分にして、空いたスペースに産後ケアに特化した施設をつくりましょう。」出産一時金で出産を済ましたい妊婦を相手にするより、出産をイベントか何かと勘違いをしているお金持ちの妊婦を相手にした方が儲かる。産前産後のエステや運動とかもできるようにして、1人から300万くらいは取るようにする。病床を少なくすれば、助産師など貴重な人材の確保に悩まずに済む。何がいけないのだろうか、オーバーワークで助産師や看護師を酷使しないで済む。私は国家資格を苦労して取り使命感もある人間を大切にしたいのだ。国が彼らの待遇改善に取り組まないのだから、個々の病院が待遇を改善するしかない。上の人間のボランティア精神などに付き合わせたくない。医師に対して貰える対価も少ない割に仕事がキツイのは明白だ。だから、看護師など3Kと呼ばれてしまいながら実は貴重な人間の待遇をあげて、暇と金が有り余っているセレブ妊婦から金を搾り取ろうと思っているのだ。人は金が有り余ると余計なことを沢山しようとする。暇と金が有り余っているセレブというのは大抵スピリッチュアルにハマる。膣マッサージなど医療的に不明確ことを、他者から気持ち悪がられるのも分からずSNSで発信してまう。それが、なぜ叩かれるのかセレブ妻には分からないのだ。子宮など女性にしかない体の部分を妙に神秘的なもの特別なものにしてしまう。「妊娠している間は女性用風俗のようなことはやめてくれ。」などとたしなめてくれるパートナーなどはいない。パートナーがヒモか、一緒にスピリッチュアルにはまっているかのどちらかだ。来院した際にやんわりと医師が注意しても聞かない。それはすでに詐欺師によって洗脳された後だからだ。それは妊娠を確定する病院が、しっかりと院に併設した施設を作って彼らの金の使い道を案内してあげれば済むことなのだ。多少高くでも、病院に併設している施設の方が安心するし医療的に不明瞭なことは絶対にしない。マタニティーハイになってるセレブ妊婦から搾り取ろうと
少女漫画の作者はいつだって純粋で天然な主人公が勝つと思っているのだろうか。そんな夢見るオールドミスが書いた物語に惑わされては有限な時を無駄にする。実は、あざとい策士にしてやられて負け犬の遠吠えのように作品を書いたのではないか。攻略対象の男たちが他人の心を読め、神視点を持っていないでもない限り悪役に勝つのは無理ゲーだ。どれだけ男という生物が理性的だと夢を見て勘違いしているのだろう。男は所詮、子を生める能力のある女の付属物でしかない。その付属物らしく、視覚優位で美しい者に反応し、優しい言葉に心を簡単に奪われる。私は計画的に確実に三池を落としている自信があった。側にうろつく白衣の天使も目に入らない程に。1年くらいは放っておいても彼は他の女に目移りしない。だから、彼なら私のことを一番に考えて最善の策を練ってくれるという信頼がある。「まさか、あんな中途半端な進学校の深海魚にシーラカンスがいるとは思わないわ。」エレナ・アーデンは6歳時点のアランが、あそこまでのイケメンになるという予測が出来る程、発達した脳を持っているのだろう。私は三池がシーラカンスであることに全く気がつかなかった。三池は恐ろしい程、地頭が良い。不合格も、受験番号書き間違いを疑ってしまう程だ。そういう男は兄のような男の園で6年勉学に励むか、公立校に潜んでいるかどちらかなのだ。私たちの通っていた学校は地元では進学校と呼ばれるが、合格実績をみるにたいした学校ではない。私にとっては行くつもりがなかった第3志望の学校だった。受験の失敗の原因は、到底通学できない立地の高偏差値の前受け校に合格したことだ。本当は前受けなど受験したくなかった。「試験慣れは必要です。合格をとっとくとお守りになります。」ただ、合格実績が欲しいだけの塾の先生に従って受けてしまった。その合格は私にとってはお守りにはならなかった。逆に自分の実力を過信してしまう原因になり、第1志望と第2志望の女子校を落とした。第3志望の地元
「アーデン侯爵令嬢、リース子爵がいらっしゃいます。」特別席で舞台の余韻に浸っていると、先刻席を案内してくれた男性が小走りで来た。オレンジ色の髪に緑色の瞳をした真面目そうな好青年が入ってきて私に挨拶する。「アーデン侯爵令嬢に、エドワード・リースがお目にかかります。」そう言って目の前に跪いてきた。この挨拶の仕方って皇族に対する挨拶の方法だと記憶している。エレナが来月には皇后になるから、こんな丁寧な挨拶をしてくるのだろうか。それにしても、いかにも悪そうな守銭奴リース子爵の息子がこんなに好青年だとは驚いた。「あの、こちらにお座りくださいな。」私は空いている隣の席をリース子爵に指し示した。「恐れ多いです。立場はわきまえております。」彼は跪いたまま、メモを取り出した。リース子爵はこの領地では領主であり、威厳を保った方が良いと思うのだがこれで良いのだろうか。しかし、リース子爵の視線から私の言葉を今か今かと待っている期待感を感じたのでこのまま続けた。「まず、年間パスポートをやめてください。園内の混雑の割に収益が取れていません。」そう、年間パスポートの時間のあるおばちゃん達が毎日来てしまっている可能性が高い。そうすると他の客が園内の混雑に思ったような満足度が得られなくてリピートしてしまわなくなってしまう。それに、年パスのおばちゃん達は既にこの園に来るのがライフワークになっている。日本のお年寄りが整形外科に行くのをライフワークにしているのと一緒だ。だから、年パスがなくなることで毎日は来なくなるだろうが、週に1回はどうしても来てしまうだろう。だから年パスをなくしてしまった方が年間にすると彼女たちから多くの金額を搾取できる。「最後列の席を除いて、他の座席は有料にしてください。」全ての座席を無料にするから、1部も2部も見ようとして席をずっと陣取ってしまう人間が出て来るのだ。そのことで、人員を整理する人を置かねばならず人件費がかかる。入園料だけで舞台を見られるというのは、オ