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第262話

Author: ルーシー
それでも玲奈は礼を欠かさなかった。

「昨日のことは心晴から聞いたわ。

どういう形であれ、助けてくれてありがとう」

拓海は答えず、視線も向けない。

けれど歩き去ることもせず、その場に立ち続け、ただ顔を横に向けていた。

反応がないままの彼に、玲奈はもう一度呼びかける。

「須賀君?」

それでも沈黙。

彼女は分かっていた。

聞こえているのに、あえて無視しているのだと。

玲奈は落ち着いた口調で告げる。

「これからは家に物を送らないで。

どれも使うことはないから」

しかし彼は依然として黙り込み、何も返さない。

その態度に、玲奈はふと不安になる。

――本当に自分を病院に運んだのは彼だったのだろうか。

だが心晴が嘘をつくはずはない。

彼が何に拗ねているのかは分からない。

けれど追及するつもりもなかった。

もともと二人は交わることのない世界の住人なのだ。

彼が距離を取るのなら、その方がよほど楽だろう。

玲奈は陽葵が怪我をしないか心配で後を追う。

彼女が動けば、拓海もついてくる。

しばらくして陽葵がトランポリンから降り、水を欲しがった。

拓海は子どもの面倒に
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