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第471話

Auteur: ルーシー
拓海はもう遠くへ行っているのに、笑い声だけが耳の奥にいつまでも残っていた。

涼真はその音が耳障りで、思わず両手で耳を塞ぐ。

拓海が去ってから、智也はようやく涼真の顔の傷をきちんと見た。

頬は青あざと紫あざがまだらに広がり、切れた傷口まである。

ただし致命傷というほどではない。

智也の胸は不快感で満ちたが、それでも怒りは押さえつけ、弟の肩を叩いて言った。

「どれだけ悔しくても、今日は飲み込め。

腹にしまえ」

広い久我山では、智也と拓海、二つの勢力が拮抗していて、どちらかが一方的にのさばることはできない。

だが智也は、拓海ほど捨て身にはなれなかった。

拓海は玲奈のためなら、何もかも投げ出せる。

涼真は目を赤くした。

兄が出てきても片づかないことが、この世にあるとは思っていなかった。

そのとき、智也のスマホがまた震えた。

ポケットから取り出すと、着信は沙羅だった。

電話口で沙羅が言う。

「智也。

食事会が終わったけど、今どこ?

迎えに行くわ」

少し考えて、智也は答えた。

「トイレのほうにいる」

すると涼真が慌てて首を振り、沙羅を呼ばないでくれと訴えた
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