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第523話

Author: ルーシー
玲奈がすべてを飲み込み、顔を上げたときには、冴子はすでに拓海のほうへ歩み寄っていた。

ただ、そばまで行ってから、冴子は振り返り、玲奈に言った。

「玲奈、私は先に帰るわね。

こっちの件が片づいたら、病院に顔を出しなさい。

お見舞いに来るのよ」

玲奈は慌てて頷いた。

「はい。

行きます」

冴子は淡く笑う。

「うん。

それじゃあ帰るわ。

元旦には、必ずうちに遊びに来るのよ。

お客さんとして」

玲奈は一瞬言葉に詰まった。

喉元まで「行けません」が上がってきたのに、どうしても口にできない。

冴子は自分のために、真夜中にわざわざ駆けつけてくれた。

それだけじゃない。

さっきは――服まで脱いで、心晴の背中を押してくれた。

普通なら、こんなことをしてまで来てくれる人はいない。

玲奈は断れなかったが、かといってすぐに「行きます」とも言えなかった。

冴子もそれ以上は追及せず、他の二人にも笑って挨拶すると、心晴の家を後にした。

拓海も冴子と一緒に外へ出ていく。

エレベーターのほうへ向かいかけたところで、拓海はふっと振り返り、玲奈を見た。

口元に薄い笑みを浮かべ、
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