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第85話

Author: ルーシー
春日部家を後にして、智也は愛車のロールスロイスに乗った。

彼は窓から手を出しタバコに火をつけた。夜風はこの時期まだ熱を帯びていた。

タバコの煙を吐き出し、その危険な瞳を不機嫌そうに細めていた。

そして薫が見せてきたあの動画を思いだし、また突然タバコの煙を消した。

携帯を取り出すと、彼は再び玲奈に電話をかけた。

呼び出し音が鳴り響くばかりで、相手は全く電話に出る気配はない。

智也の我慢の限界がもうすぐ来ようとしていた。

しかし、突然、彼はあの動画は薫が見せて来たことを思い出した。

そして彼は薫のほうへ電話をかけた。

「智也、なんか用か?」薫は秒でその電話に出た。向こうからはガヤガヤと音楽の音が聞こえてくる。

智也は尋ねた。「どこにいる?」

薫が住所を送ってくると、智也は言った。「分かった、今から行く」

智也が薫の送ってきた住所のところに到着した頃にはあれから30分以上が過ぎていた。

来たのは智也だけでなく、そこには洋の姿もあった。

二人が個室に入っていった時、不機嫌そうだった。

薫は立ち上がって彼らを迎えた。「智也、洋」

智也は薫と一緒にいた数人をサッと睨んで言った。「全員出て行け」

薫は少し様子がおかしいと思ったが、多くは尋ねず、智也はきっと何か重要な話があるのだろうと思っていた。

そして最後の一人が個室から出て行く時、その人間に向かって言った。「ドアを閉めていけ」

彼はとても落ち着いていた。しかし、あまりに落ち着き払っているものだから、薫は逆にそれにビクビクとしていた。

ドアが閉まると同時に智也は薫の隣に腰かけた。

薫も彼と一緒に腰をおろした。「なんだか様子がおかしいけど、一体どうしたんだ?」

彼は智也を見て、それから洋のほうへ視線を向けた。二人はどちらも恐ろしいくらいに淡々と落ち着いていて、どうも普段とは様子が違っている。

洋は椅子に座ることなく、ローテーブルを挟んで薫に詰問を始めた。「智也が玲奈さんを一日中探しまわったが、見つからなかった。彼女がどこにいるのかお前は知っているんじゃないのか?」

ただ玲奈の行方を尋ねただけなのに、薫は明らかに慌てた様子だった。彼はソファの背もたれに寄りかかり、ソワソワしてそれに返事をした。「お……俺、彼女がどこにいるか知ってるわけないだろ?」

洋は表情を暗くして言った。「ちゃんと
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千恵
薫、玲奈を隠し撮り依頼していたよね? 場所知らないのにどうやって依頼したの??
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